旅、お酒、ときどきアート。日本文化紹介ブログ

日本のお酒・グルメ、伝統文化などに焦点をあてた紀行文やお出かけ情報をつづります。よく行くスポットは鎌倉、逗子、東京の下町など。

【神保町】奇跡のカレー屋「エチオピア」にたどり着くまで

 

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おいしいお昼ごはんが食べたい。

そう思って、神保町をひたすら歩いていた。

ただただ、おいしいごはんが食べたい。

ただそれだけのシンプルな願いなのに、出くわすのはチェーン店かラーメン屋ばっかり。同行者と2人の納得のいく店がみつからない。

しかも、夜は焼肉に行く予定だったから、肉が選択肢から外れるわ、GW中でシャッターを下ろしている店もあるわでさらに店探しのハードルは上がっていた。

本屋とラーメン屋と、シャッターと、バカでかい都会の道路をながめながらひたすら歩いた。

それなのに、どうにもこうにも、よい店がみつからず時間も時間だし……と、私たちは、とうとう自分たちの信念をまげて、チェーン店らしき蕎麦屋の扉を開いた。が、その瞬間、2人の足は固まる。無機質な券売機。窮屈そうな座席。小綺麗だけど個性のない店内。心地のよくない、ファーストフード店のようなガヤガヤ感。

「ココはオレたちの求めている場所ではない」

一種の、あうんの呼吸?

声にしなくても同行者である恋人のタキゾウ(仮名)がそう思っているのがわかった。タキゾウだけじゃくて、私も同じだった。

私たちは、席につくことなく、店を後にして、また歩く。

しばらくして、ふと、お昼ごはんを探す前の時間に、「定食」という看板を見かけたのを思い出す。力を振り絞って私の危うい記憶のなかの「『定食』の看板」を目指すことに。途中、何度か道を間違えながら、おぼろげな記憶の地にたどり着いた。

が、定食の看板は見つからず……。時刻はすでに、3時に近いから閉まってしまったのかも。でも、なんとなく、チェーン店でもラーメン屋でも肉料理でもないお店がチラホラ。そんななか、タキゾウが一言。

「このカレー屋、なんでこんなに混んでるんだろ」

この一言がきっかけで、こじんまりとしているけど、窮屈さを感じさせない程よい雑音が心地よい店の2Fの窓際に腰掛けて「エビカレー」を待つことになった。

タキゾウは、ほぼオジサンと呼ぶに差し支えない妙齢のため、先に酒とつまみに手をつけてからあとでごはんを食べるオジサンスタイルが基本のスタイルなので、サラダをつつきながら、ハートランドを飲む。あ、もちろん、私も……。

「カレー、気持ち遅めてでお願いできる?」

なんて店員さんに言っちゃてるもんな。でもおかげで、笑顔で「気持ち遅めですね」と言ってくれる、おねえさん(お店)の優しさに私も触れることができた。

店の名前は「エチオピア」。

店内では女性がコーヒーを注いでいるモノクロのポスターがエチオピア感を高めていた。コンパクトなテーブルと、椅子。いると落ち着く、昭和っぽい店内だ。

エビカレーがやってきた。普通、シーフードカレーとかそういう類のカレーって、お決まりのようにシーフードの量はもうしわけ程度なのだけど。エチオピアは違った。

「食べれば食べるほどエビが増えているような気がする」

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なんてタキゾウが言っていたが、それほど、かみごたえのあるエビがゴロゴロ。そして、スパイスと玉ねぎの旨味が凝縮されたさらさらのルーと硬めだけどモチリとしたごはん。どちらもつやつやしている。

窓から見えるのは、エチオピアの看板に、街路樹の緑、床屋の青と赤と白の壁。景色までがお店と一体化している。

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濃紺で縁取られたお皿もかわいくて、この店、なんか、パーフェクトかも。ちょうどそう思って皿についてタキゾウに話しかけようと思った、そのとき、私のなかで奇跡がおきた。

私より、ひと足早く、スプーンが進んでいるタキゾウの皿を見ると、カレーから「エチオピア」の文字が覗いていたのだ!ぎゃー可愛すぎるー!めっちゃツボ。やっぱりパーフェクト。

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途中、信念を曲げてしまったけど、それでもあきらめずに歩き続けて本当によかった。そう思わせてくれる店だった。 

カリーライス専門店 エチオピア