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老舗・お酒・おいしいもの好き女子の飲み歩き日記

日本文化について、老舗酒場と日本美術を中心に綴ります。

横浜中華街「聘珍樓」で味わった甘め梅ソースの鴨ローストとシャンパンの芳香

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グルメ通の人たちには、大きな声で言えないけど、生まれて初めて横浜中華街にある老舗「聘珍樓」に行った。と、メニューも開かないうちからまた来たいお店リストにランクイン。

明るすぎず暗すぎず、落ち着く、というか、ちょっぴり妖艶な雰囲気すらする照明の中で、分厚いクロスが掛けられた丸テーブルと円形のソファ席につく。店内で、マネキンが笑みを浮かべたような黒いスーツのウェイターたちが姿勢よく動いている風景は、映画の中に飛び込んだかのようだった。

お客は、カジュアルな装いの30代らしきふつうのカップルもいるけれど、品よく白いハットを身に着けている老婦人と旦那様、とか、又吉か!?って一瞬思っちゃったおひとりさまの30代後半と思われるロンゲ(死語!?)男性とかを見ると、やっぱり、普通のレストランとは違う客層の濃さ。映画の登場人物さながらのキャラなのだ。

料理が来る前からそんな風景を眺めているだけで、十分楽しい。楽しすぎる。

できれば、又吉風のあのロンゲさんのみたいに、一人で来て本を片手にワインを飲みながら、こっそりお客を眺めていたい、と思ったが、うーん、まだ金銭的にもその他の意味でも不文相応な気がする。

でも、彼、そんなに私と年齢は変わらなそうだった。どんな仕事をしている人なんだろ。ビールを飲みながら思っていた。

そんななか最初の料理がテ―ブルへ。

どんなにおいしいだろう、期待が高まり過ぎていたのか、とりあえずオーダーした小籠包と焼き餃子は、意外と可もなく不可もない味だった。一緒に並んだ青菜炒めは、しっかり味つけされているけどしつこくない、しょっぱくもなく、あっという間にお皿がカラになった。

一息ついたところで、年上の恋人が2杯目のビールを飲みながら、また、いつものように昔話を始めた。10年くらい前の話。

数歳年上の女性のいとこと、聘珍樓に来たときのこと。

大学教授をしている、いとこは、40歳を迎えたばかりだったそうで、恋人に、結婚したい、自分の遺伝子を残したいけど相手がいない、そんなありきたりとえいばありきたり、なんだけど本人にとってはきっと真剣な悩みを打ち明けたそうだ。

別段仲が良いわけではなかったので、そんなことを相談されて、少し驚いた、と恋人。

その話、30歳半ばの彼女の前でするか、とちょっと思ったけど、そんな自分のことはそっちのけで、「自分の遺伝子を残したい」というセリフと「聘珍樓」は妙にマッチすると思った。

ちょっぴり妖艶な雰囲気に加えて、中華というのがいいのか。和食を食べながら聞くのは重い。イタリアンでは軽い気がする。ま、でも大衆的な中華じゃ雑音にかき消されるが。フレンチは?フレンチもいいかも。でも、コースだと料理が決まってるから、沈黙が起きたらごまかせない。

そのあと、香りだけで酔いそうなくらいうっとりする芳香のシャンパンを皮切りに、わたしたちにおいしい幸せな時間が嵐のようにやってきた。

こんがり焼けた鴨肉のローストを、すごいボリューム!(甘めの梅ソースがシャンパンに合う!)と思いながら、完食し、海鮮チャーハンのスープがけも完食。今回はどれも期待を上回ってくれる味。

ちなみにいとこは、残念ながら遺伝子は残せなかったそうだが、何年か後にはめでたく結婚されたそうだ。

 

横浜聘珍樓