江戸グルメと酒と旅の話

旅行ライターやってます。昼飲み、ご当地グルメ、江戸グルメ・老舗、神社仏閣、旅の記録などをつづっています。

浅草・並木藪蕎麦で天ぬきデビュー【蕎麦前紀行】

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ずっと行きたいと思っていた「並木藪蕎麦」へ行ってきた。

私は以前、浅草で働いていたことがあったのだが、残念ながらその頃に足を運ぶ機会はなかった。というのも、こちらの店の営業時間は11~19時半。仕事は19時までだったので、定時にオフィスを出られても、終わってから行くのではぎりぎり。

しかも、ランチに行くには遠いし、混んでいるだろうし、何より食いしん坊な自分は、お昼ごはんに蕎麦だけではお腹がすいしまう。かといって、さすがの私も仕事中に蕎麦前を楽しむわけにもいかず。そんなこんなで足を運ぶ機会がないなまま、以前の職場は退職してしまった。

今回は、立川談春の独演会で浅草へ。落語前に蕎麦屋で酒だ。しかも平日の昼下がり。思わず天国かよと自分に突っ込みたくなるくらいの幸せな午後である。

場所は、雷門から駒形方面に歩いて2、3分。

昔ながら質素な店構えが見えてくる。

扉を開けると、左側に小上がり、右側にテーブル席。こちらは1913年創業の老舗。建物近年改装されたらしく、内装はとても小ぎれいな印象だ。

メニューは、店内に張られた筆書きのみでとてもシンプル。

訪れたのは16時半頃だっただろうか。入店したときはまばらだったが、3、40分後にはほぼ満席に。観光地ということもあるが、この時間にこの客入りはさすがだなぁと思った。でも、皆さっと食べて帰ってゆくのがかっこいい。

それにしても、客足が絶えない理由がなんとなくわかる。ふっと、足を運びたくなる店なのだろう。

中年の女性のさりげなくも和やかな接客、和の趣が大切に守られている内装、照明の明るさ、お客がいるのに静かで凛とした空気、少し広めのテーブル、すべてが絶妙なバランスのもと、すごくリラックスできるのに、心はしゃんとしていられる、とても心地がよい不思議な空間だ。

江戸風俗研究家の故杉浦日向子さんが、

うまいソバとうまい酒を供する店は、ほかにいくらでもある。

だけど、並木でなくてはダメなんだという午後がある。

書籍『ソバ屋で憩う―悦楽の名店ガイド―』より引用

と本の中で、いっていたのがものすごくよくわかると思った。この文の意味を肌で感じた。

さて、まずはビールと板わさをオーダー。

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板わさはすごく上品な量。

その後は、焼きのりと樽酒を。

蕎麦味噌がお品書きにないなと思ったら、お酒と一緒にやってきた。酒を注文すると出してくれるようだ。

板わさや焼きのりに使われている醤油が美味しくて彼氏と感動した。

そして、私は、今回初めて"天ぬきデビュー”をした。

一品料理が豊富な店だと、あれもこれも食べたいとなるので、今だかつて未経験であった”ぬき”。(※汁と種物だけで蕎麦のないもののこと。酒のアテにぴったり)

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一口すする。ちょっぴり濃いめの汁と、汁を吸った天かすをもぐもぐ。

風味を残して、お酒をいただく。

それの繰り返し。天ぷらは、海老。おつゆと天かすに慣れた舌に、じゅっとあふれる海老の旨みのインパクト!

蕎麦もみずみずしくて、香りがあって、おいしい。辛汁(せいろのつゆのこと)をつけずに食べてもおいしい。

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辛汁は、濃いめ。かつおの風味がすごくて、スモーキー。蕎麦の先っちょだけだけに汁をつけてすすると、蕎麦とかつおの香りが相まって何とも深みのある味わいだ。

鴨南蛮が食べたかったが季節限定のようなので、そのうちまた足を運ぶこと必至です。

★食べたもの

板わさ 

焼きのり

天ぬき

ざるそば 700円

 

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[並木藪蕎麦]
営業時間:11:00~19:30
定休日:木曜日
TEL:03-3841-1340
住所:東京都台東区雷門2-11-9
アクセス:都営地下鉄浅草線東京メトロ銀座線のA4&A5出口から徒歩1分

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