江戸グルメと酒と旅の話

旅行ライターやってます。昼飲み、ご当地グルメ、江戸グルメ・老舗、神社仏閣、旅の記録などをつづっています。

初めての大山詣りへ。豊かな自然と大山阿夫利神社でパワーチャージする旅【前編】

江戸庶民に人気の旅先だった大山

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少し前に、大山に行った。

2200年前、第10代崇神天皇の御世に創建されたと伝わる大山阿夫利神社がある神奈川県伊勢原市の霊山だ。紅葉の名所としても有名。

寺社に参詣する旅が大流行した江戸時代後期には、霊山として熱く信仰を集め、人口100万人の時代に、多いときには年間20万人もの江戸庶民が来山したというからすごい。

江戸時代、伊勢神宮、富士山などが庶民にとって一度は行きたい旅先だった。が、徒歩で旅する時代、気軽に参詣できる距離ではない。その点、大山は、江戸から2〜3日で行けることから、多くの人々が訪れたそうだ。

また、当時は、かつて源頼朝公が刀を納めた事から始まったという、木太刀を奉納し願掛けをする「納太刀」など独特の参拝の仕方も広まっていたそう。

ちなみに、大山への参詣の前後に江の島に立ち寄るのも人気のコースだった。

そんなふうに、江戸庶民に親しまれた大山。浮世絵の作品も多く残っていて、「納太刀」の様子や大山の背後に江の島が描かれている作品など、多く残っている。

大山の浮世絵

こちらは歌川広重の作品。大山には禊に使われていた滝もたくさんあって、その様子が伝わってくる。

f:id:mamiwa02:20181121230534j:plain『関東名所圖會 相模大山良弁之瀧』 歌川広重(初代)天保末期 

 

これは大山の賑わいぶりがすごい。人気ぶりを表した作品だ。

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『相刕大山 諸人参詣之圖(3枚組)』 歌川芳藤 慶応元(1865)年

 

明け方に日本橋を立つ大山講役者絵。「納太刀」の木刀、大きい。

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 『大山参詣日本橋之圖(3枚組)』歌川国輝 慶應2(1866)年

画像:神奈川県郷土資料アーカイブ

まずは鉄道の最寄り駅である小田急伊勢原駅

さて、大山へのアクセスは、まず、鉄道の最寄り駅である小田急伊勢原駅へ。そこから大山ケーブル駅までバスで約30分。

自宅の最寄り駅からは、大山ケーブル駅まで、おおよそ2時間ほどの道のりなので同じ県内とはいえ結構時間はかかる。ちなみに、新宿からの所要時間もだいたい同じ程度だ。

そして、大山ケーブル駅からケーブルカーで6分(徒歩でも可能だが片道40分以上の道のり)の場所に、大山阿夫利神社下社がある。ケーブルカーで行けるのは、そこまでで、山頂の大山阿夫利神社本社までは、下社から徒歩で1時間半。往復で3時間。つまり、やや本格的なトレッキングコースのため、今回は大山阿夫利神社下社までの旅。

ケーブルカーで下社まで行き、二重の滝という徒歩10分ほどのところまで散策後、下りはケーブルカーに乗らず、徒歩で下社と大山寺へ立ち寄り、大山ケーブル駅へと戻るという行程の旅となった。

と、サラっと書いたが、下りとはいえ登山のトの字も知らぬほどの体力のなさで、帰りは足ががくがく笑ってしまい、大変なことに……。それについては、のちのち書くとして……。

大山豆腐料理発祥の店とされる「和仲荘」でランチ

大山ケーブルバス停に到着し、まずしたことは、腹ごしらえ!

今回立ち寄ったのは、こま参道にある「和仲荘」という豆腐懐石の店。なんでも大山の名物の1つ、大山豆腐料理発祥の店らしい。

佇まいは、昔ながらの日本家屋。引き戸を開けてみる。時刻は午後13時頃だ。奥から店員さんが出てきて、座敷か椅子かどちらが良いかと聞かれたので座敷を選択。広い座敷のお庭が見える席を案内してもらった。

こちらでは3品コース、5品コース、7品コース、があり、ごはんは別。1人で7品は多いかなと思い、5品コースと7品コースにしてもらう。

ビールで乾杯すると、最初にやってきたのは、ゴマ豆腐。好きなんだけど、食べそうで食べない、むしろ旅行先なんかでいただくことが多い、ほんのり甘く独特ももっちり感の一品。

その後は、山菜ととろろが添えられた「山かけどうふ」、この時期限定だという柿が入った「白和え」に続き、具沢山の「がんもどき」「とくせいどうぶ」「とうふグランタン」「蒸しグラタン」と、まさに豆腐尽くし!もちろん、どれも大変美味。中でも、柿が入った上品な甘さの白和えが印象的だった。

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2人で瓶ビール1本とお酒1合と料理を楽しみ、大山ケーブル駅へ向かう。

坂と階段が続く「こま参道」。ケーブルカーにたどり着く前から登山気分⁉

前述したが、バス停留所から大山ケーブル駅までは、徒歩15分とパンフレットにあった。

「和仲荘」は停留所から3〜4分くらいの場所だったので、ケーブルカー出発の20分前に店を出て余裕のはずが、駅まで階段や坂ばかりで間に合うか怪しい状況に。この道のりは「こま参道」という名の参道で、土産店や食事処が立ち並んでいるので、ゆっくり歩けば「いい運動だな」程度かもしれないが、そんな時間的余裕はなし。

なんでこんなに遠いの?酒を飲んでいるから?と思いながらも、上へ上へ。ケーブルカーまでたどり着くだけの道のりで、すでに登山気分⁉なんて考えていたら、駅が見えてきた!

と思ったけど時計を見ると、発車時刻まで、なんと!あと2分!これを逃すと次は20分後!もうすでに息が切れ気味だったけど、最後の力を振り絞り、ダッシュ!なんとか間に合いました。

ケーブルカー乗車でテンションが上がる

ケーブルカーに乗ると、想像以上の急こう配だということがわかる。

緑に囲まれ、まっすぐに敷かれた線路をぐんぐん駆け上がる。階段の辛さも忘れ、窓から見える景色に興奮した。

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そして、途中で大山寺駅に停まり、あっという間に、大山阿夫利神社下社の駅へ到着。

駅に着くと、神社へ行く前に、大山からの眺めを堪能。相模湾と緑が美しく、登山をしたわけでもないのに、「ああ、山っていいな」と思った。

そして、景色を堪能した後は、いよいよ大山阿夫利神社下社へと向かう。

 

 後編はこちら。

 

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