江戸グルメと酒と旅の話

旅行ライターやってます。昼飲み、ご当地グルメ、江戸グルメ・老舗、神社仏閣、旅の記録などをつづっています。

異界への入り口「大門」を通って「増上寺」へ。阿弥陀如来様のオーラに…

東京芝大門にある「増上寺」へ

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東京芝大門にある増上寺は上野寛永寺と並び、言わずと知れた徳川家の菩薩寺だ。1393年現在の千代田区平河町あたりに創建。1590年に徳川家康が菩薩寺とし、1598年には江戸城拡張のため、芝の現在地に移転された。一説によると、江戸城の裏鬼門として邪気を防ぐために移設されたともいわれている。

堂々とした姿の「大門」

9月の某日にひとりで同寺を訪ねた。JR浜松町駅を出て、大門方面へと向かう。

オフィス街といえるエリアの平日、しかもお昼時ということで、多くのサラリーマンやOLたちの姿。ゆっくり寺社巡りをしている優越感とともに、職場が門前町なんてちょっとうらやましいなーなんて思いながら、まずは大門を目指す。

3分ほど歩いたところで大門を発見。

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江戸時代に建設された初代・大門は木造だったが、現在のものは1939年に再建された鉄骨コンクリート造り。何度も塗り直されているためだと思うが、見た目がきれいなのでもっと近年に再建されたものかと思いきや意外と古い。

近くで見ると、異界への門のとごとく堂々とした姿!

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初代大門のデザインは踏襲されているようで、切妻屋根などなど、木造さながらの意匠が施されている。私が感じた“異界への入り口感”もそういった表現によって生じたものなのかしら。それとも雨だから?それともただの妄想か?いやいや、気分を盛り上げたいので異界への入り口ということに。

増上寺もそうだが、この大門もいくつかの浮世絵の題材になっており、門のそばには大正・昭和期の浮世絵師、川瀬巴水の叙情あふれる一枚が添えられている。雪の中の大門。遠いようで近い、美しい過去にしばし思いを馳せた。

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「むさぼり、いかり、おろかさ」を解脱する「三解脱門」現る!

大門を異界への入り口ということにして盛り上がった割には、スタバとかおしゃれなカフェなんかを横目にしばらく歩くと、いよいよ見えてきたのが三解脱門(さんげだつもん)だ。大門に続き、オフィス街に江戸時代からワープしたかのように忽然と現れる、巨大な門だ。

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三解脱門は1622年建立。戦災にあった増上寺において、江戸の初期に大造営された当時の面影を残す唯一の建物だ。三解脱門とは、三つの煩悩「むさぼり、いかり、おろかさ」を解脱する門という意味だそう。すべて解脱したい…。上層部(内部)には、釈迦三尊像十六羅漢像が安置されている。

境内に広がる癒やし空間へ

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三解脱門を通り境内に入ると、木々に囲まれた心地よい空間が広がっている。寺域も広く様々な建物があるのだが、まず目に入るのは右手の前方にある鐘楼堂。

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これまた巨大な鐘だ。鐘楼堂は戦後に再建されたものだが、納められている大梵鐘は1673年に完成したもの。東関東最大級の大きさで、江戸三大名鐘の一つに数えられていた立派のものだ。

また、左手前方には、年輪を感じさせるたたずまいの手水舎がある。

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もともとは徳川家の今はなき霊廊にあったもので、明治の霊廊の解体や空襲を逃れた貴重なもの。どうりで凝った意匠に時代を感じさせるオーラを放っているわけだ。

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いよいよ本堂である「大殿」へ。阿弥陀如来様に癒され…

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さて、ご本尊が安置されている大殿へと向かう。こちらも巨大で、戦災により焼失し1974年に再建されたもの。

大殿に安置されているご本尊の阿弥陀如来は、室町時代に製作された貴重な仏像だ。

堂内は神聖なオーラで満ちていていた。

ちなみに、私は神社仏閣でがっつり願掛けするタイプである。たまに「神社仏閣で願掛けなんてするもんじゃないです」という謙虚な方もいらっしゃるが、私個人の考えとしては、いくつもお願い事をしたり失礼にあたるようなことをしなければ、願いは聞いていただけると思っている。何せ、神様仏様。願いの一つや二つに、ごにょごにょ言うほど懐が小さいわけがない。

阿弥陀如来様は、美しかった。

願い事、というか相談事をしてからもしばらく拝ませていただくと、悩み事に関するインスピレーションが浮かんできたような?仏様の存在を感じる瞬間である。

外国人の方々も参拝していたが、彼らも真剣なまなざしで阿弥陀如来様を見つめており、また会話の声もひそひそ声。国が違っていても仏教とでなくても(たぶん)、神聖なオーラはしっかりと伝わるのだ。

そんなことも含め、堂内はピュアなエネルギーに満ちあふれ……。私はというと、目に涙。きっと阿弥陀様の癒やし効果もあったのだろう。ぽろぽろ、浄化するように涙を垂らした。そういえば前回来たときも泣いたっけな、とそこで思い出した。ううっ、癒やされる……。

写真撮影は禁止されていないようで(法要中のみNG)、光をまとっているようなその美しさを、一枚撮らせていただいた。

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また、こちらの阿弥陀様の両脇には高祖善導大師と宗祖法然上人の像が祀られているのだが、こちらが、本当に人が座っているようにリアリティがある。魂入ってそう……。現実世界にいることを忘れるような、なんともいえない不思議な心もちに。

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増上寺には、慈雲閣、経蔵、光摂殿などの建物や、徳川将軍家墓所、宝物展示室などのみどころも。墓所や宝物展なども気になったのだが、阿弥陀様を拝んで、悩みを打ち明けおみくじを引いてかなり満足してしまった。この後芝大神宮にも行くつもりで、しかもお腹が減って蕎麦が食べたくなってきたので(芝大神宮の近くに老舗蕎麦屋芝大門更科布屋」あり)、今回は、立ち寄らずに寺を後にした。

阿弥陀如来様の癒やしオーラで心を浄化し満足満足の今回の訪問。随所に色濃い歴史も感じられるパワースポットだった。今度は墓所も見学してみたい。

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芝大神宮&芝大門更科布屋については次回に。