江戸グルメと酒と旅の話

旅行ライターやってます。昼飲み、ご当地グルメ、江戸グルメ・老舗、神社仏閣、旅の記録などをつづっています。

【横浜・阪東橋】おじさんたちの聖地「中華料理一番」で感じるフリーダム

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横浜・阪東橋の「中華一番本店」で昼飲みの幸せを噛みしめる

近所の店に行く気分じゃないときに足を運ぶのが、自宅の最寄駅から地下鉄で15分ほどとアクセスしやすい横浜の伊勢佐木町界隈。

和食、居酒屋、エスニック、イタリアン、老舗店などなど、一通りのジャンルの店がそろっており、そのほとんどが手頃な価格で食事できるので、食に関するだいたいの欲望はここで満たすことができるのだ。

なので「中華料理 一番 本店」の前は、ちょこちょこ通っており、気になっていた。女子には似つかわしい、年季の入った中華料理店。おせじにもキレイとはいえず、ある種の女性には見向きもされないことだろう。そして、ある昼どきに、とくに食べたいものがなくうろうろしてたどり着き、満を持して入店することに。

店に入ると「人気店の活気だなー」と思った。

広めの店内。店員さんの元気がよくて、お客さんはうるさすぎず、静かすぎず、そんなお客と店員の会話はとても自然。サービスではなく人と人との会話が聞こえてくる、みたいな店。

中華のメニューはだいたいそろっていて、酒飲みにはうれしいハーフサイズの料理もある。

でも、料理よりも先に客が気になった。

まず、ほぼ満席の1階フロアを見渡すと、飲酒率の高さにおどろく。12時前なのに、9割くらいの人が酒を飲んでいる印象。

そして、今日は日曜の昼だけど、きっと平日の昼も来ているんだろうな、と思わせる「白髪交じりの無造作ヘアに、グレーのジャンパーを着ているおっさん中のおっさん」みたいなおじさんだらけ。

ここはまぎれもいおじさんたちの聖地だ。

メニューにあったっけ?と思う納豆をつまみにボトル焼酎を楽しむおじさん。「今日も青りんごサワーね!青りんごサワーひとつ!」と、青りんごサワーがお気に入りのおじさん。テレビが見たいのに、テレビが見える方向の席が空いていなくて、空いたと思って移動しようと席を立ったのに、後から入ってきた客に先をこされてさみしそうにしているおじさん。

おじさんたちのささやかだけどきっと大きな日常をしめている幸せが「中華料理一番本店」にはあるのだ。

そうだよな、自分がおじさんだったら常連になっちゃうよなぁと思いながら、瓶ビールを飲みながら、チンジャオロースやらきくらげの炒め物やらをつつく。(おじさんじゃなくても近所だったら常連になる可能性は高いのだが)

内装は、年期が入っていて、昭和の喫茶店と食堂の中間のようなインテリア。店員さんは中華圏出身とおぼしき女性が多く、親しみやすい。かつ彼女たちのおかげか、異国の地に来たような雰囲気があるのもいい。

料理は、めちゃくちゃおいしい、というわけではないが、チンジャオロースはピーマンがすごくたくさん入っていて気に入った。

でも、しゅうまいは、口に入れた瞬間、「水分ほしい」と思った。異様にぱさぱさしていて印象的。でも思いだして笑えたのでよし。

他、メニューを見て心にささったのが、焼酎の小ボトルが1,080円からあること。なんとコスパがいいことよ。この店がある限り、お酒好きなおじさんたちの幸せは保たれるであろう。

店を訪れたときは、ブログに残すつもりもなく、写真も撮らず、ただおじさんを観察しながら酒を飲んでいた。なのに、なぜか日に日に、絵にかいたような?理想の?おじさんの聖地を目の当たりにしたことを、文章として残さなくては!という使命感のようなものまで感じるように……。それぐらい印象に残った。

「きっと、朝起きて、昼前に来て、新聞とかテレビとか見ながら、飲んで食べてゆっくりして、んで、家帰って昼寝するんだろうね」

おじさんたちを見ての彼氏の言葉に激しく同意。

フリーダムなおじさんの日常にふれ、仕事であくせくする自分の日常が遠く彼方に感じられた。

 

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中華料理一番 本店

営業時間:朝7時〜深夜1時
定休日:なし
住所:神奈川県横浜市中区曙町3丁目43
アクセス:京浜急行黄金町駅下車徒歩6分、横浜市営地下鉄阪東橋駅下車徒歩5分

Google マップ

大正創業、浅草のおでん屋「丸太ごうし」の絶対食べたいオススメメニュー

浅草のおでん屋「丸太ごうし」

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寒い日が続いていて、好物のビールを受けつけない日もあるほど。

もっというと、外出を控えたいくらい寒いが、そんななか自宅から1時間かけて向かったのは浅草の「丸太ごうし」。大正15年創業のおでんの老舗だ。扉を開くと、おでんの香りがたまらない!懐かしいにおい。

土曜日ということもあり、念のため予約をしておいた。ご主人に奥の座敷の席へ案内される。

少し温まったところで、ビールをオーダーすると、すぐに前菜が出てきた。

丸太ごうしでは席だけの予約は不可。前菜、お刺身盛り合わせ、おでんのセット料理の予約をした。

やってきた前菜が並ぶ皿を見て、テンションがあがる。

煮こごりがある……!出汁がさわやかに香り、口のなかでゼラチンがすっーととろけていく煮こごり。前回来店時には、その美味しさにすっかり虜になってしまったのだ。

その煮凝りと再会。ワクワクしながら、口に運ぶと、ふわりといい香りの後にやさしくとろける口当たりは、もちろんそのまま。たまらないわ。

のちのち、隣の客もその隣の客も煮凝りをオーダーしていて、やっぱり人気商品なのだなとうれしくなった。しかも単品だと250円という安さ。

煮こごり以外には、菜の花のお浸し、漬物、クルミの佃煮、いんげん梅肉和えなど。酒の肴にぴったりの料理はどれも美味。

前菜をつつきながら、これはもう、日本酒。剣菱の熱燗をオーダーし飲んでいると、刺身の盛り合わせもやってきた。

そして、またテンションが上がる。タコがいる……!肉厚に切られた弾力があり、噛めば噛むほど旨みが出てくるタコ。

さっそく、かぶりつく。肉厚なので口いっぱいに旨みとタコ汁が広がる。幸せ。しかも、素晴らしく日本酒と合うではないか。辛口で残り香が豊かな剣菱とのやみつきになるマリア―ジュだ。

刺身は、アジ、カツオ、いか、しめさば。どれもおいしい。しかも、ボリュームたっぷりで大満足。

熱燗をおかわりし、いよいよおでんがやってきた。

出汁のいい香りがふわり。まずはやっぱり大根から。厚さは数センチ以上の大きめの大根は、箸をいれると、一瞬ふわっとするくらい煮込まれている。はふはふしながら熱々をいただく。ほろほろとろける。優しい味わいで、これまたお酒がすすむすすむ。

他、じゃがいも、いか巻き、牛すじ、こんぶ、しらたき、などが入っていた。

どれも素材の味が十分に感じられて美味。ジャガイモは甘みがあっておどろいた。しらたきは細めで出汁がしっかり染みていた。

盛り合わせにはなかった、味が染みていてスモーキーさすら感じたたまごと、しらたきや鶏肉がつまったふくろ、そして大根も再びオーダーして、〆。お腹いっぱい。

店内は、黒電に、明るすぎない照明、年季の入った家具。畳の座敷があり、昭和一色!お客は年齢層も高めで、落ち着く雰囲気。デートにもいいんじゃないかな。

そして、煮こごり、タコ、大根、は個人的にオススメ。

 

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丸太ごうし

食べログ 丸太ごうし

 

牛ハラミ焼きとわさびの絡み合いに悶絶。逗子の老舗居酒屋「つく志」

逗子駅すぐ。昔ながらの居酒屋「つく志」へ

この頃よく、逗子海岸、葉山、一色海岸あたりをブラブラしていた。

隣の駅の鎌倉より人は少なく、もう少し田舎っぽい。海が近い。一色海岸が美しすぎる。逗子駅周辺には飲食店もわりと多く、食事やお酒もしっかり楽しめる。

逗子駅から徒歩2、3分の「つく志」に立ち寄ったのも夏が終わる頃。しっとりした一色海岸の景色を満喫した週末だった。

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見るからにほろ酔いのおじさんたちで賑わっていそうな佇まい。扉に近づいてみると、たくさんのお客さんの楽しそうな声が聞こえた。

「入ってみよう」

彼氏と意見が一致したので、迷わず扉を開ける。

カウンター席とテーブル席が並ぶ1階は満席らしく、2階へ案内される。座敷だ。2日間遊んだ締めくくりの食事。畳はじんわりうれしかった。

2階はおじさんたちの笑い声が絶えないけど、まぁ、これくらいのにぎやかさはご愛敬。

瓶ビールをオーダーして、メニューを眺める。

さんまの塩焼き、マグロ納豆、タコ刺し、アジフライ、しらすおろし、マグロぶつ。ダメだ。どれも魅力的……。でも、今日はどうしてもお米が食べたい。ほどほどにしなくてはお米が入らなくなってしまう。でもどれも美味しそうだ、どうしよう……と本気で悩む。本当は全部食べたい。

まずは、彼がお新香とちぐち串(喉の奥のお肉だそうです)を、わたしはタコ刺をチョイス。

タコはきゅっと身がしまっていて、味が濃い。ぬか漬けはちょうどよい塩かげん。ちぐちは、たぶんはじめて食べたがジューシーでびっくりした。

やっぱり、お酒を飲むのは和風の居酒屋が楽しいな。素朴なだけど美味しくて手頃なメニューが揃うこんなお店はどうかいつまでも残っていてほしいものだ。

お酒も進む中、今日忘れてはいけないのが、真っ白なごはん。そろそろオーダーしたくなってきたが、ここでまた何を頼むか迷う。ごはんのお供にふさわしいものを二人で真剣に相談。

さんまの塩焼きにもそそられたが、昨日さんま食べたじゃんと彼。煮つけであったが確かに食べたことを思い出した。

討論の末、選ばれたのは……アジフライだ。でもその前に、もう少しお酒を楽しもうとマグロブツ切を先にオーダー。

しばしビールと三崎で獲れたまぐろを満喫した。

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そしていよいよ、アジフライとごはんが登場。家庭的な料理ではあるが、一人暮らしということもあり、なかなか家では食べる機会がない、アジフライ。

待ち切れず一口かじると、サクサクのフライに閉じ込められた味がじゅわっと広がる。

おいしい。

一口、サクッとかぶりつく度に、アジフライをじっくり噛みしめたい気持ちとごはんとのマリアージュを楽しみたい気持ちの間でゆれうごく。アジフライだけ味わったり、ごはんと頬張ったり、途中からごはんを参入させたり、残っているマグロぶつとごはんを食べたり、すっかり夢中になって食べた。

あー美味しかった。

でも、これで終わりではないのだ。隣の席のおじさまたちが食べていた牛ハラミが気になって気になって仕方がなかったわたしは、彼にその旨を告げていた。

そして、お腹に余裕があったら食べようと2人で誓いを交わしていたのだ。

今回、最後にその「牛ハラミ焼き」の美味しさに悶絶。

肉汁じゅわっ!

心から頼んで良かったと思う。有名な焼き肉店よりおいしい、と彼。そして、お皿にあるからしを見てこう言った。

「わさびつけても美味しそうだよね」

そこで試しにマグロの残りのわさびをつけてみると、もうどう表現すればいいのかわからない、ちょっと投げやりになるくらい美味しいではないか。ほんのり甘味のあるタレと肉汁と、わさびが上手に混ざり合ってくれるのだ。

と、彼が、すかさず店員さんにわさびをもらう。

好きなだけわさびを付けて堪能した。

おじさんたちのテーブルを見て肉に目をつけたわたしに、なかなか目ざといね、と一言。褒められているような恥ずかしいような……。でも、美味しかったから何はともあれ大満足。ぜひまた足を運びたい店だ。

ちなみに、後日お店のホームページを見たところ、創業は昭和26年。昔ながらの味と三浦などの新鮮な食材が楽しめる店なのだ。

 

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つく志

食べログ つく志

 

創業以来のぬか床でつくられる「香の物」にしびれる。横浜・伊勢佐木町の釜飯や

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週末に足を運んだ、横浜・伊勢佐木町の釜飯屋「お可免(おかめ)」。 

途中、地元の人らしきおじいさんに道を尋ねると、「ああ、おかめね」といって、しゃきしゃきと道順を教えてくれた。このあたりでは有名らしい。

店の前に到着し、その佇まいを一目みるなり、納得。年季が入った佇まいは「ザ・老舗」。

いよいよドアを開けると、そこは……まるで『男はつらいよ』の寅さんがお酒飲んでそうな、昭和の日本だった。店内はテーブル席と座敷席が半々くらい。合計40席程度か、比較的広々している。

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座敷に通され、低めのテーブルにを目の前に座り、ほっとひと息、ついたところで「わー!」と半オープンキッチン(?)のスタイルに興味深々。

座敷席の壁の3分の2ほどの大きさで、厨房が見られるように開けている。

ちょっとしたライブ感、お店の人の顔がいつでも見られる安心感、日本映画の中の世界を覗いているようなわくわく感がある。

「元祖釜飯お可免(おかめ)」は昭和2年(1927年)創業とのこと。創業者である先代は当時は珍しい女性の料理人。彼女が試行錯誤の末、釜飯料理を考案して以来89年の間、その味は守られている。

ビールとお通しを味わいながら、迷った末、馬刺しとタコ刺しをオーダー。どちらもちゃーんと味がして、これは日本酒と合わせねばと、すっきり辛口のお酒を。

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彼氏が追加で、香の物を頼んだところ、これが大当たあたり!なんでも創業以来のぬかに継ぎ足してつくられているそうで、口に広がるその芳醇な香りを、嚙みしめるごとにドーパミン溢れまくり。おそらく、今まの人生の中でナンバーワンのぬか漬けだ。激しく日本人でよかったと思った瞬間だった。

そのあとは、穴子の釜飯で〆。ほんわかだしと穴子の旨味がたまらない。味噌汁付きだ。

お店はアットホームでくつろげる雰囲気。日本酒もたくさん揃っていたのでお酒好きにもおすすめ。

 

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「おひとりさま」でもくつろげそうな老舗うなぎ店、上野「伊豆栄」

 

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上野で入った「伊豆栄」は、江戸の中期創業の鰻割烹。不忍の池の目の前にある。現在の建物は昭和59年に建て替えられたものだそう。入店すると案内されたのは、なんと7階。巨大割烹だなぁ。

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7階まであるうえに客席はかなり広々としている。窓際からは不忍池が望める。天井には昭和っぽいシャンデリア。いや、全体的に昭和感が漂っているのだけど。

女性のウェイトレスさんは着物をお召しで、中にはいったい何年こちらでお勤めで……?と思うような年配とおぼしき方も。でも、そんな方々が、老舗の格を上げているようにも見える。

高級店らしくふっくらした上質なおしぼりで手を拭きながら、メニューを眺める。

鰻重の松、竹、梅の他、一品料理は、野菜煮、天ぷら、季節の野菜などなど……。そしてコース料理もあり、「鰻割烹」というだけあって、品数豊富だ。お酒も、ビール、冷酒、焼酎のほかワイン、ウィスキーとひととおり揃っていた。

とりあえずビールと季節の野菜の盛り合わせをオーダーする。盛合せは、フルーツトマトやエシャロット、とうもろこし、谷中生姜、里芋、きゅうりなどが美しく皿に並べられていた。

恋人と昼から散々飲んでいた休日の疲れを癒すべく、美しい野菜とビールを目の前に(結局飲んでる)ゆったりした時間を過ごす。

それにしても、鰻屋といえば、少しかしこまった雰囲気か、お重に集中して食べたらさっと帰なければいけない、そんなイメージだけど、ここはまるで読書でもできそうな雰囲気だ。

時刻は、20時頃。夕食どきともいえるこの時間にもかかわらず女性のひとり客がチラホラ。店が広いので、ひとり客でも4人がけテーブルでくつろげる。

いいな、うなぎおひとりさま。

私もいつかやりたい。

そんなことを考え、恋人そっちのけでうな重に夢中になってしまった。

お酒を飲んだ一日の〆にもやさしく、さらっと食べられてしまう鰻だ。

香ばしく、ほんわりして、しつこくない。

あとで知ったのですが、伊豆栄の鰻はタレに砂糖を一切使用していないのだとか。

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鰻が美味しいのはもちろん、老舗らしい優雅さと昭和っぽさが入り混じった空気がとても気い入った。いつかひとりで来てみたいな。

 

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歯ごたえ、旨み、ハンパない!江ノ島「食堂いのうえ」で巨大「サザエのつぼ焼」体験

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夏になると取り敢えず足を運ばずにられないのが、江の島。

なんて言いながら、自宅からいつでも行ける距離なので江の島駅周辺に来ることはあっても、実際に江の島を観光したり散策したりすることがめったになかったので、一度ちゃんと行ってみよう!と丸一日遊ぶことに。

江ノ島弁天橋をわたり、いざ江の島へ。

橋を渡るとすぐに、「ザ・日本の観光地」なお土産やさんや飲食店が並んでいる様子に浮足立つ。

そして、B級グルメや食べ歩きフードがいたるところにある。特に、海鮮を焼く香ばしい醤油の香りには、到着早々、ビール欲を駆り立てられる。

が、しかし、昼酒をゆっくり味わうために、とりあえず我慢。生シラスとか、ご当地グルメが楽しめて、ゆっくりお酒が飲めて、味わい深い佇まいの店を目当てに歩いた。そして、同行者のあの辺に店が何件かあった気がする…といううっすらとした記憶と、最後はカンで選んでたどり着いたのが「食堂いのうえ」だ。

新鮮な魚介類がウリの昔ながらの雰囲気が漂う小さな食堂である。

まずは、何はともあれ、生シラス(しょうが醤油で)。そして、瓶ビールをオーダー。昼からのこの組み合わせは、お酒好き生シラス好きの私にとっては天国。仕事が忙しくて週末が待ち遠しかっただけに、言葉にならないくらいの至福の瞬間だ。

が、この後、この幸せが絶頂を迎えることを私はまだ知らなかった。

それはなんの飾りもなく、目の前に置かれた。「サザエのつぼ焼き」だ。とにかく、まず目の前に置かれると、巨大なことに驚く(ちょっと写真だとわかりづらいのだけど)! 

一瞬、え?と思った後に気が付く、大きいー!と。

おいしいエキスたっぷりの液体の中に隠れているサザエ。取り出してみると、奥の身までシュポッっと出てきた。高まる気持ちを抑えきれず、一口食べてみると、歯ごたえが半端ない!そして、噛めば噛むほど、磯のうまみ!今思い出すだけでも興奮してくる。

このあと、煮魚もオーダーする。家ではなかなかできないな、と思うほど味がしっかりしていて美味であった。

ちなみに、食堂いのうえではどのメニューも定食は1000円前後、サザエは700円〜900円。単品も数百円〜と良心的な値段。

テンションはあがりっぱなしでビールが進んだ昼酒。

この店に来るためだけに、江ノ島、また来ちゃう――。そう思えた店だ。

 

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食堂いのうえ

肝の佃煮と熱燗の黄金コンビを楽しむ昼下がり。鰻屋「両國」へ

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相撲観戦前に両国駅から徒歩数分の鰻屋「両國」へ連れて行ってもらった。

カウンターと小上がりのテーブル席が2つ。こじんまりとした下町感溢れる店内はとても居心地が良い。

まずはビールで乾杯だ。つまみは肝の佃煮ともずくしかないそうで、迷わずどちらもオーダー。目の前で焼いているかば焼きの匂いをかぎならが、最初にやってきた肝の佃煮をつつくと、想像通りというか、日本酒を欲しくなる味だった。そして、ビールのグラスが空くと迷わず熱燗にチェンジし、酒飲みならだれもが認めるだろう黄金コンビを堪能した。

お酒を楽しんだ後、やってきたうな重。パカっとあけてキラキラの鰻とごはんをほおばった瞬間に思った。

「やさしい味がする……」

あぶらののった鰻がふっっっわふわなのも「やさしい味」の一因に違いないのだろうけど、そういう言葉で表現できるものを超越している何かが宿っているようなうな重だった。

たしかにさ、たまーにさ、ものすごくお腹が減っているときに炊きたてのごはんを食べて泣きそうになる、なんてことが、なくはない。それの類かと思い「やさしい味」の正体を見つけるべく続けて箸を進める。

「うぅ、さっきよりやさしい味がする……ふわふわだし」

なんだかもう、食べれば食べるほど、胸がいっぱいになってきてた。それくらい美味しい。

思わず、鰻を焼く係のオヤジさんを見つめてみた。意外にポーカーフェイス。笑みや愛想を浮かべるわけでもなく、かといって、職人気質のガンコオヤジ的なまなざし、とかでもなく、なんか近所のコンビニで買い物してるオヤジさんのような……(注:焼いてる最中は違うかもしれません)。

それだけ、鰻を扱うことが、日常のことになっているんだろう。職人技はもとい、ひょっとしたら、そんなリラックスした彼の心持ちも、ほっとする美味しさの欠かせない要素なのかも。

例えば、落ち込んでいるときに行ったら、すごく元気にしてくれそうな鰻だなーと思った。

最後まで、ひたすら美味しい美味しいと思って完食。誰にも見られないところでひとりで食べてたらあまりの美味しさにちょぴり泣いてたかも。

 

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両國

 

ハートランドとエビカレー。神保町のカレー屋「エチオピア」に辿りつくまで

 

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おいしいお昼ごはんが食べたい。

そう思って、神保町をひたすら歩いていた。

ただただ、おいしいごはんが食べたい。

ただそれだけのシンプルな願いなのに、慣れない街のためか、出くわすのはチェーン店かラーメン屋ばっかり。納得のいく店がみつからない。

しかも、夜は焼肉に行く予定だったから、肉が選択肢から外れるわ、GW中でシャッターを下ろしている店もあるわでさらに店探しのハードルは上がっていた。

本屋とラーメン屋と、シャッターと、バカでかい都会の道路をながめながらひたすら歩いた。

それなのに、どうにもこうにも、よい店がみつからず時間も時間だし……と、私たちは、とうとう自分たちの信念をまげて、チェーン店らしき蕎麦屋の扉を開いた。が、その瞬間、2人の足は固まる。無機質な券売機。窮屈そうな座席。小綺麗だけど個性のない店内。心地のよくない、ファーストフード店のようなガヤガヤ感。

「オレたちの求めている場所ではない」

声にしなくても彼氏がそう思っているのがわかった。私も同じだった。

席につくことなく、店を後にして、また歩く。

しばらくして、ふと、お昼ごはんを探す前の時間に、「定食」という看板を見かけたのを思い出す。力を振り絞って私の危うい記憶のなかの「定食の看板」を目指すことに。途中、何度か道を間違えながら、おぼろげな記憶の地にたどり着いた。

が、定食の看板は見つからず……。時刻はすでに、3時に近いから閉まってしまったのかも。でも、なんとなく、チェーン店でもラーメン屋でも肉料理でもないお店がチラホラ。そんななか、彼が一言。

「このカレー屋、なんでこんなに混んでるんだろ」

この一言がきっかけで、こじんまりとしているけど窮屈さを感じさせないこのカレー屋の2Fの窓際に腰掛けて「エビカレー」を待つことになった。

先に酒とつまみに手をつけてからあとでごはんを食べるオジサンスタイルがデフォルトの彼と一緒に、私もサラダをつつきながら、ハートランドを飲む。

「カレー、気持ち遅めてでお願いできる?」と店員さんにお願いする彼氏。笑顔で「気持ち遅めですね」と言ってくれるおねえさんの優しさにふれながらビールののどごしを満喫した。

店の名前は「エチオピア」。

店内では女性がコーヒーを注いでいるモノクロのポスターがエチオピア感を高めていた。コンパクトなテーブルと、椅子。いると落ち着く、昭和っぽい店内だ。

エビカレーがやってきた。普通、シーフードカレーとかそういう類のカレーって、お決まりのようにシーフードの量はもうしわけ程度なのだけど、この店のは違う。

「食べれば食べるほどエビが増えているような気がする」

なんて彼氏が言っていたが、それほど、かみごたえのあるエビがゴロゴロ。そして、スパイスと玉ねぎの旨味が凝縮されたさらさらのルーと硬めだけどモチリとしたごはん。どちらもつやつやしている。

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窓から見えるのは、エチオピアの看板に、街路樹の緑、床屋の青と赤と白の壁。景色までが店と一体化しているような気がした。

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濃紺で縁取られたお皿もかわいくて、この店いいな、とますます好きになる。

皿について彼氏に話しかけようしたちょうどそのとき、わたしよりひと足早く、スプーンが進んでいる彼氏の皿を見ると、カレーの中から「エチオピア」の文字が現れた。げー、かわいい。カレーめちゃくちゃ美味しいんだけど、美味しいだけじゃなくて、こんなふうにささやかなかわいらしさがある店なんだな。

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途中、信念を曲げてしまったけど、それでもあきらめずに歩き続けてよかった。そう思わせてくれる店だった。 

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手打ち釜揚げうどん 鎌倉みよし

カリーライス専門店 エチオピア