江戸グルメと酒と旅の話

旅行ライターやってます。昼飲み、ご当地グルメ、江戸グルメ・老舗、神社仏閣、旅の記録などをつづっています。

初めての大山詣りへ。自然と大山阿夫利神社でパワーチャージする旅【後編】

大山阿夫利神社への旅後編。

前編はこちら↓

kamakura-enoshima.hatenablog.jp

 

清々しく和やかな雰囲気の境内

ゆるやかな坂道を登り、間もなく見えてきたのは、鳥居の前の土産屋や食事処、カフェなどが並ぶ中腹。そして、さらに階段を登ると、その先に大山阿夫利神社下社の鳥居と社がある。

観光地なのだから当然といえば当然なんだけど、14時頃で参拝のピークを過ぎている(登山客も多いので早くから活動する人が多い)にもかかわらず、どこかほっとする"賑わい"があった。
いまは平成最後の年、2019年。大山参拝が大ブームとなった江戸時代が終わった年から数えても、150年の月日がたっている。科学や文明の発達により、江戸時代に比べたら神様仏様への信仰心も格段に薄れている。でも、山に登りたい、心が洗われるような山からの景色を見たい、神社にお参りしたい、という日本人のDNAはすたれていないのだなぁと思わされた。

そして、境内は、清々しかった。

厳かな雰囲気ではなく、登山客が一服したり参拝者はお参りをしたり写真を撮ったり、相模湾や富士山が見える展望を楽しんだり。みんな自由にのびのび過ごしている。

途方もない歴史をもつにも関わらず、ほっとする、どこかあたたかさを感じる神社だった。

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そして、私はというと、相模湾と遠くにうっすら見える江の島の景色にちょっぴり感傷的になる。なぜかと言えば、故郷(地元)の戸塚宿(⁉)と江の島は、ほど近い距離。なんだか遠い地(県内だけど……)から我が故郷を眺めているような気分になった。

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参詣を済ませ、御朱印とおみくじをもらい、大山の水とやらを飲んだり、上社へと続く階段を覗いたり(覗くだけ!)、小さな滝を見に行ったり、すっかりミーハー心を満たし、次に向かったのは、大山寺だ。

山を下り、大山寺を目指す

大山寺へは、大山ケーブルカーで行くこともできるのがだが、ケーブルカー待ちが行列で次の便に乗れるか怪しかった。また「大山MAP」を見ると、下社から大山寺まで20分とあったので、ちょっと散策がてら歩いてみることに。

ところが、実際に下ってみると、本格的な登山は経験がなく運動不足に加え、足元は伸び切ったスリッポンという私。想像以上に急で険しい道におろおろひやひや、延々と続く石階段に足ガクガク、という感じで、30分以上もかけて大山寺へ(っていうか本当はもっと長かったんじゃ?と思うんだけど)。

しかも、寺に着く頃には、太ももが笑ってしまい、緩やかな階段になっていたものの、彼氏に摑まって歩くような状態。準備運動……するべきだったよね⁉ 

こじんまりとした境内と鐘の音に癒される

とはいえ、大山寺もまた、ほっと癒されるような寺だった。こちらも歴史は古く、天平勝宝7年(755年)、東大寺を開いた僧、良弁による創建と伝えられている。

 

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本尊に祀られている不動明王鎌倉時代のものだそう。こじんまりとしたお寺なのだが、妙に落ち着く。そして、お参り後に御朱印をもらうと、「ようこそ大山寺へおいでくださいました」と笑顔で対応してくださり、苦労してきた甲斐があったなぁという気分になった。

境内には、本殿、小さな塔(宝篋印塔という)、小さな滝(倶利伽羅滝だって)などがある。あとは、1回200円で鐘を鳴らせるといううれしいオマケも。さっそくやってみたところ、ゴ〜〜〜ンと癒やしの音と振動が響き、しばし心を静める時間に。

気持ち的には、ここまでの疲れもすっかり癒やされて、寺を後にした。

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この後、大山ケーブル駅まで、再び歩くことにした私たち。幸い、大山阿夫利神社下社から大山寺までの道のりと比べるとかなりゆるやかで、無事大山ケーブル駅にたどり着けた。と、思っていたのもつかの間。バス停留所まで続く階段を下ると、もう太ももががくんがくん。

だいぶ前からリュックは彼氏に押し付けていたのだが引き続き背負わせ、私は、ときに手すりにすがりながら歩くハメに。極め付けは、バス停が見えたぞ!というときに、発車しま〜す!の掛け声が……。え、また走るの?ヤダ……と思いつつ、このバスを逃して、何十分か待つのもそれはそれでヤダ……てことで、結局、がくんがくんの太ももにムチを打ちながらダッシュするというオチに。

想像の10倍くらい体力を消耗した大山詣りの旅。でも、江戸時代の人々に想いを馳せつつ、歴史ある寺社や自然にふれ、たっぷりパワーチャージできた。

次回は時間と体力を蓄えて、頂上を目指したい。

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初めての大山詣りへ。豊かな自然と大山阿夫利神社でパワーチャージする旅【前編】

江戸庶民に人気の旅先だった大山

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少し前に、大山に行った。

2200年前、第10代崇神天皇の御世に創建されたと伝わる大山阿夫利神社がある神奈川県伊勢原市の霊山だ。紅葉の名所としても有名。

寺社に参詣する旅が大流行した江戸時代後期には、霊山として熱く信仰を集め、人口100万人の時代に、多いときには年間20万人もの江戸庶民が来山したというからすごい。

江戸時代、伊勢神宮、富士山などが庶民にとって一度は行きたい旅先だった。が、徒歩で旅する時代、気軽に参詣できる距離ではない。その点、大山は、江戸から2〜3日で行けることから、多くの人々が訪れたそうだ。

また、当時は、かつて源頼朝公が刀を納めた事から始まったという、木太刀を奉納し願掛けをする「納太刀」など独特の参拝の仕方も広まっていたそう。

ちなみに、大山への参詣の前後に江の島に立ち寄るのも人気のコースだった。

そんなふうに、江戸庶民に親しまれた大山。浮世絵の作品も多く残っていて、「納太刀」の様子や大山の背後に江の島が描かれている作品など、多く残っている。

大山の浮世絵

こちらは歌川広重の作品。大山には禊に使われていた滝もたくさんあって、その様子が伝わってくる。

f:id:mamiwa02:20181121230534j:plain『関東名所圖會 相模大山良弁之瀧』 歌川広重(初代)天保末期 

 

これは大山の賑わいぶりがすごい。人気ぶりを表した作品だ。

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『相刕大山 諸人参詣之圖(3枚組)』 歌川芳藤 慶応元(1865)年

 

明け方に日本橋を立つ大山講役者絵。「納太刀」の木刀、大きい。

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 『大山参詣日本橋之圖(3枚組)』歌川国輝 慶應2(1866)年

画像:神奈川県郷土資料アーカイブ

まずは鉄道の最寄り駅である小田急伊勢原駅

さて、大山へのアクセスは、まず、鉄道の最寄り駅である小田急伊勢原駅へ。そこから大山ケーブル駅までバスで約30分。

自宅の最寄り駅からは、大山ケーブル駅まで、おおよそ2時間ほどの道のりなので同じ県内とはいえ結構時間はかかる。ちなみに、新宿からの所要時間もだいたい同じ程度だ。

そして、大山ケーブル駅からケーブルカーで6分(徒歩でも可能だが片道40分以上の道のり)の場所に、大山阿夫利神社下社がある。ケーブルカーで行けるのは、そこまでで、山頂の大山阿夫利神社本社までは、下社から徒歩で1時間半。往復で3時間。つまり、やや本格的なトレッキングコースのため、今回は大山阿夫利神社下社までの旅。

ケーブルカーで下社まで行き、二重の滝という徒歩10分ほどのところまで散策後、下りはケーブルカーに乗らず、徒歩で下社と大山寺へ立ち寄り、大山ケーブル駅へと戻るという行程の旅となった。

と、サラっと書いたが、下りとはいえ登山のトの字も知らぬほどの体力のなさで、帰りは足ががくがく笑ってしまい、大変なことに……。それについては、のちのち書くとして……。

大山豆腐料理発祥の店とされる「和仲荘」でランチ

大山ケーブルバス停に到着し、まずしたことは、腹ごしらえ!

今回立ち寄ったのは、こま参道にある「和仲荘」という豆腐懐石の店。なんでも大山の名物の1つ、大山豆腐料理発祥の店らしい。

佇まいは、昔ながらの日本家屋。引き戸を開けてみる。時刻は午後13時頃だ。奥から店員さんが出てきて、座敷か椅子かどちらが良いかと聞かれたので座敷を選択。広い座敷のお庭が見える席を案内してもらった。

こちらでは3品コース、5品コース、7品コース、があり、ごはんは別。1人で7品は多いかなと思い、5品コースと7品コースにしてもらう。

ビールで乾杯すると、最初にやってきたのは、ゴマ豆腐。好きなんだけど、食べそうで食べない、むしろ旅行先なんかでいただくことが多い、ほんのり甘く独特ももっちり感の一品。

その後は、山菜ととろろが添えられた「山かけどうふ」、この時期限定だという柿が入った「白和え」に続き、具沢山の「がんもどき」「とくせいどうぶ」「とうふグランタン」「蒸しグラタン」と、まさに豆腐尽くし!もちろん、どれも大変美味。中でも、柿が入った上品な甘さの白和えが印象的だった。

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2人で瓶ビール1本とお酒1合と料理を楽しみ、大山ケーブル駅へ向かう。

坂と階段が続く「こま参道」。ケーブルカーにたどり着く前から登山気分⁉

前述したが、バス停留所から大山ケーブル駅までは、徒歩15分とパンフレットにあった。

「和仲荘」は停留所から3〜4分くらいの場所だったので、ケーブルカー出発の20分前に店を出て余裕のはずが、駅まで階段や坂ばかりで間に合うか怪しい状況に。この道のりは「こま参道」という名の参道で、土産店や食事処が立ち並んでいるので、ゆっくり歩けば「いい運動だな」程度かもしれないが、そんな時間的余裕はなし。

なんでこんなに遠いの?酒を飲んでいるから?と思いながらも、上へ上へ。ケーブルカーまでたどり着くだけの道のりで、すでに登山気分⁉なんて考えていたら、駅が見えてきた!

と思ったけど時計を見ると、発車時刻まで、なんと!あと2分!これを逃すと次は20分後!もうすでに息が切れ気味だったけど、最後の力を振り絞り、ダッシュ!なんとか間に合いました。

ケーブルカー乗車でテンションが上がる

ケーブルカーに乗ると、想像以上の急こう配だということがわかる。

緑に囲まれ、まっすぐに敷かれた線路をぐんぐん駆け上がる。階段の辛さも忘れ、窓から見える景色に興奮した。

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そして、途中で大山寺駅に停まり、あっという間に、大山阿夫利神社下社の駅へ到着。

駅に着くと、神社へ行く前に、大山からの眺めを堪能。相模湾と緑が美しく、登山をしたわけでもないのに、「ああ、山っていいな」と思った。

そして、景色を堪能した後は、いよいよ大山阿夫利神社下社へと向かう。

 

 後編はこちら。

 

www.edoyu.work

 

滋味あふれる鳥さしと塩焼きに舌鼓。親子丼で有名な「鳥つね 自然洞」で鳥づくしの夜

少し前に行ったお店のメモです――。

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とある週末に御徒町にある親子丼の店「鳥つね 自然洞」へ、ちょっと遅めの夕飯とお酒を楽しみに、足を運んだ。

こちらは、以前、昼に行ったことがあるのだが、親子丼とともに、日本酒の美味しさが忘れられず、夜も行ってみたいなと思っていた店。

ランチでは、上親子丼を予約したうえで店へ。お酒を飲みたかったので、1人前のみ親子丼の前に何品がついてくるコースに。親子丼はとろとろ卵と少し甘めのバランスの良いタレと火を入れすぎずに軟らかくもはごたえありの鳥とで、そりゃ美味しかった。

 

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お店で使っている鳥は、比内地鶏名古屋コーチン、奥久慈のシャモニなど。中抜きすると肉質の劣化が早まるため、少しでも新鮮なものを使いたいと、鳥はまるごと仕入れて、店でさばいているそう。

で、この夜いただいたのは、鳥サラダ、おしんこ、鳥さし、地鶏の塩焼き、そして親子丼。もちろん、日本酒とともに。少し遅めの時間に行ったのと、この後もまだ飲むつもりだったので単品でオーダーしたけれど、ゆっくり料理を楽しむならコースのほうがお得かもしれない。

鳥さしは、くさみがあるとかないとかそんなレベルの話ではなくて、舌の上でじわじわ旨みがでて、これがまぁ、わさびと日本酒と合うのなんの。

そして、塩焼きが登場。皮がパリッとしていて、お肉は、味が濃い〜!!!うま味がすごい。ドーパミン出まくりでしょう。肉質もしっかり噛み応えがあって、滋味あふれる一品だった。

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最後は、親子丼。

 

鳥さしも焼き鳥も日本酒も素晴らしくて、心も舌もすでに大満足だったのだが、親子丼(小サイズです)もやはり美味しくてペロリと完食。

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ちなみに、地酒のメニューは写真ようなラインナップで、島根を中心に中国地方のお酒が多い。この日は、島根の月山と京都の玉乃井をいただく。玉乃井は、飲んだ後の余韻がすごくて、しばらくポーっとその芳香に浸ってしてしまうお酒。前回昼にいただいて、なんだこれは⁉ととても印象に残っていた。まぁ純米大吟醸で値段が値段(一合2200円)なので、そりゃ美味しいよな、って話なのだが。

他にワインや焼酎も置いてあるのでお酒も心ゆくまで満喫できる。

店内では、常連さんらしき、人々が楽しそうに飲んでいて、雰囲気もよい。

あ、でもランチはめちゃ混みなのでややバタバタした感じかな。人気店なので、どちらも予約していったほうがいいかな。

何はともあれ、鳥ずくし、かつ至福の夜でした。

ちになみに、大正創業の湯島の「鳥つね」の分店とのことで、そちらにもそのうちお邪魔してみたい。

 

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[鳥つね 自然洞]
営業時間:昼11:30~13:30、夜17:30~21:00
定休日:日曜日、祝日
TEL:03-5818-3566
住所:東京都千代田区外神田5-5-2
アクセス:東京メトロ銀座線「末広町」駅(2番出口)から徒歩2分
JR山手線「御徒町」駅(南口)から徒歩7分
JR山手線「秋葉原」駅(電気街口)から徒歩10分

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プロフィール

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ライターのMamiです。

 

■プロフィール

・神奈川県横浜市在住

・1981年生まれ

・ひとり暮らし

フリーライター

 

■簡単な経歴

20代の頃に接客業の傍らでフリーライターをはじめました。女性向けライフスタイルメディアや横浜の地域情報サイトなどをメインに執筆。

その後は、女性向けライフスアタイルメディアや訪日観光客向けWEBマガジン、お出かけ情報サイトなどで編集業務に携わりました。(すべてWEBです)現在は、食や旅行の分野でフリーライターと、旅行系のWEBマガジンで原稿校正業務をしています。

 ブログでは完全に趣味でエッセイを不定期で更新しています。

 

■趣味

日本文化が好きになってから、趣味が増えました。

 

・相撲鑑賞

今の彼氏が好きだったことがきっかけで見ていたら、好きになってしまいました。国技館にも足を運んでいます。角界はいろいろありますが、良くも悪くもやっぱり日本に古くから続いているスポーツは他にないわけで。日馬富士が好きでした…(泣)。

 

・旅行

主に国内。温泉と寺がある地域によく行きます。酒場巡りも欠かせません。

 

・浮世絵鑑賞

鑑賞していて美しいだけでなく、バリエーションが広く、また、江戸の風情が生き生きと感じられるのがおもしろくて、ハマってしまいました。王道すぎですが、北斎と広重はやっぱり好きです。北斎は絵の中の人が生き生きしているのがおもしろい。広重は旅情たっぷりなところがいですね。最近は春画にも興味津々。美術館に行ったり、本で勉強したりしています。

 

蕎麦屋

30代に入り、蕎麦屋酒を覚えてしまい蕎麦屋の楽しさに開眼。たまにひとりでもふらっと。

 

・他に好きなもの

温泉、寺、クラフトビール(普通のビールも好き)、鉄道、大衆酒場、焼き肉屋(肉というより焼き肉屋ね)、ご当地グルメ、古建築など。

 

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以上です。どうぞよろしくお願いします。

 

 

 

あまじょっぱい「油揚甘辛煮」で一杯どうぞ。上野「翁庵」で女ひとり飲み【蕎麦前紀行】

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すごく行きたいのだけどなかなかタイミングがなくて行けなかった上野の蕎麦屋「翁庵」に行ってきた。

この店、20時には閉店してしまう。平日はなかなか行く機会をつくれず、彼氏との蕎麦前率が高い日曜は休み。土曜は昼まで寝ているし、夜はゆっくりお酒を飲むため、20時には閉店してしまうとなると、あまり飲めずに蕎麦でお腹が膨れてしまうので行けない…。

が、この度念願叶って、初訪問。

打ち合わせの後に、久しぶりに上野の美容院を予約していたのだが、その間に少し時間が空いたのだ。

チャンス到来!とばかりに、上野に着くなり急ぎ足で向かった。憧れの蕎麦屋へ早く!という気持ちと、美容院の時間まで1時間を切ったので、なるべくゆっくりできる時間を作りたかったのだ。

相変わらずの(店の前は何度も通っていた)歴史ある佇まいに、胸をときめかせながら、引き戸を開ける。

と、そこで広がっていたのは、ザ・ノスタルジック・蕎麦・ランド。やばい、好き。まだ蕎麦食べてないのに期待以上!

店内には、老舗料理屋の店内に飾ってあるものツートップ、落語家のサインと力士の写真がお目見え。テンション上がる。

で、頼んだのが、看板メニューともいえる油揚甘辛煮(350円)とビール。油揚甘辛煮はたぶん日本酒のほうが合うとは思うのだが、時間的に1杯しか飲めないのでビール飲みたい欲に負けた。

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味わいはというと、濃いめでじゅわっとしていて、お酒に合う。うんおいしい。気取ってない味。これで350円はうれしい。次来たときは日本酒といただきたい。

さて、一人では結構なボリュームの油揚げを平らげ、蕎麦は、人気のねぎせいろをチョイス。やってきたのを見ておどろいた。ねぎだけじゃなくて、いかのゲソ天ぷらがあたたかい汁に入っている。

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蕎麦だけ味見し、汁につけて蕎麦を食べる。油揚げと同じく、汁もやはり少し濃いめ。蕎麦は適度なコシとのどごしと、ほんわか蕎麦の香りで、ちょっと優しい感じがした。そんな蕎麦とネギとゲソとをほおばる。おいし〜!なんというか、店の雰囲気と同じく、ホッとする味だ。

接客はとても感じくて、一人で酒を飲んでいる人も多く、たいそう居心地がよかった。

満足満足。ごちそうさまでした。

 

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[翁庵 (おきなあん)]
営業時間:11:00~20:30
定休日:日曜日、祝日
TEL:03-3831-2660
住所:東京都台東区東上野3-39-8
アクセス:東京メトロ日比谷線上野駅より徒歩2分、JR各線上野駅浅草口/広小路口より徒歩4分

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湘南台「元祖鴨南ばん本家」で江戸時代からの味を満喫【蕎麦前紀行】

神奈川県藤沢市にある鴨南ばんの元祖の店

以前から気になっていた「元祖鴨南ばん本家」へ行ってきた。店名の通り、なんでも鴨南ばんの元祖の店だという。

場所は、地下鉄・小田急相鉄線の「湘南台」駅から徒歩約3分。そんな店が地元(藤沢市よりの横浜市在住)にあったなんて!元祖って、どんな鴨南ばんが食べられるのだろう?とかなり期待しながら、店に到着。

到着したのは14時過ぎだったが、3連休のためか、そう広くない店内は、満席だったので、名前を書いて待つ。

創業200年あまりの老舗蕎麦屋

「元祖鴨南ばん本家」は江戸時代文化年間(1810年頃)、日本橋馬喰町の鞍掛橋で創業。初代が長崎の「南蛮煮」をもとに「鴨南ばん」を考案したところ、江戸中の評判となったそうだ。
明治の中頃から3代目が店名を「元祖鴨南ばん」とする。その後、関東大震災大正12年)の大火事で店は消失してしまうが、4代目が再興。
5代目の頃は、妻が「鴨せいろ」を考案し、各地に支店もできたため店名に本家をつけ、現在と同じ「元祖 鴨南ばん 本家」したそうだ。現在の店主は8代目。湘南台に移転したのは7代目の頃だというから、最近のことらしい。

メニューを見ながら待っていると、ほどなくして、店内の小上がりの席に案内された。

店は28席ほどでそう広くはない。建物は新しいようだが、老舗だけあって純和風のいかにも”蕎麦屋”な佇まいが守られている。

江戸っ子が絶賛した幻の食材「銀宝」の天ぷら

看板メニューはもちろん、鴨南ばんだが、一品料理も豊富だ。板わさや天ぷら、卵焼きなどの定番から、鴨の陶板焼き、鴨わさなんてものもある。

この日は、合鴨の陶板焼き(1000円)と小松菜のおひたし(450円)、そして、季節の限定メニュー、銀宝の天ぷら(800円)をお願いした。

なんてサラっと書いたけど、メニューを見た瞬間、銀宝、ギンポって何⁉と頭の中がはてなマークでいっぱいになったのであった。

何やら不思議は呼び名であるが、品書きには「江戸時代から『銀宝を食べずんば天ぷらを語ることなかれ』と言われ、現在では幻の食材になっています」とある。

これだけでは、さっぱりだが、隣のめごちの天ぷらの説明に、「砂底に住む魚、穴子や鱚(キス)、櫨(ハゼ)、銀宝と並んで代表的な江戸前の天種」とあるので、魚なのだろうということが想像がついた。

これは食べてみないわけにはいかないだろう。

さて、ビールで乾杯しつつ、蕎麦味噌と小松菜をつまんでいると、やってきたのは、合鴨の陶板焼き。

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鴨が肉厚!一口食べると、弾力のある肉からうま味がじゅわっと広がった。陶板焼きってタレの味が濃い印象があるんだけど、タレがあっさり目で、お肉の味がしっかり楽しめる。美味。そして、お肉ならやっぱり日本酒だ。ぬる燗が進んだ。

「銀宝」の味は?

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お次はお待ちかねの銀宝の天ぷらだ。

見た目は、白身魚?というより穴子のような感じだろうか。かぶりついてみると、うわ!穴子よりもっちり弾力の歯ごたえ。しかも、外の衣はサクサク、中はもっちり、と食感のゴールデンコンビだ。そして、穴子より白身の味わいがしっかりしている。

いやー美味しい。そりゃあ江戸っ子たちに、「銀宝を食べずんば天ぷらを語ることなかれ」とも言われるわな。その通りだわ。

今日の蕎麦前は、中身が濃い!すでに超楽しい。

(ちなみに、銀宝をネットで検索したら、名前の通り、不思議は見た目だった)

www.zukan-bouz.com

 

初代の味を再現した鴨南ばん

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が、〆は、やはり、鴨南ばん。

その名も「治兵衛の鴨南ばん」(1400円)だ。これはなんでも初代「笹屋治兵衛」が出していた「鴨南ばん」を再現したものだそう。こちらの蕎麦には、合鴨ではなく青森県産の本鴨、葱は江戸野菜である江戸千住葱を使用しているそう。

普通の鴨南ばん(950円)もあり、そちらは合鴨を使用。そちらでも十分美味しいのだろうけど、初来店なので、ぜひ初代の味を!と思い、治兵衛の蕎麦を頼んだ。
運ばれたきた蕎麦には「鴨」と書かれた漆塗りの蓋が。そして、蓋を開くと、これまたボリュームたっぷりだ。

肉厚の鴨肉がどーんと器に盛られている。しかも、骨付き肉まで。気になる味は、これは、今まで食べた鴨肉の中でもやはりダントツに美味しい。より身がしまっていて、味が濃い。お蕎麦はこしがある。ネギも味が濃い。しかも、ほのかに肉がついた骨付まで入っていた。

肉にかぶりつきつつ、蕎麦が伸びぬようにと蕎麦をほおばる。もごもごと口いっぱいに、鴨さんのうま味と蕎麦を堪能する。だが、特筆すべき点はそれだけではない。

そう、汁だ。

一般的に鴨南ばんの汁って、甘くてちょっと濃いめ、が多いけど、ここのは、鴨の出汁を全面に出しているためか、また、鴨肉じたいを味わえるように配慮されているのか、とてもあっさりしていて、上品な味わいだった。それでも、うま味が凝縮されたその風味は、物足りないということもなく、極めてバランスがよい。すべて飲み干してしまった。満腹……。

湘南台で江戸の味を堪能できるなんて。貴重な店。ぜひまた足を運びたい。昼下がりの蕎麦前をたっぷり満喫できました。

 

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[元祖鴨南ばん本家]
営業時間:11:00~20:30
定休日:木曜日
TEL:0466-45-5033
住所:神奈川県藤沢市湘南台2-22-17
アクセス:湘南台駅出口Dから徒歩2、3分

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「かのや」新橋駅構内店で仕事帰りごはん【女子的立ち食いそば探訪】

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週3日の仕事帰り。

お腹が減った蕎麦が食べたいという気持ちでいっぱいだった。

この前ブログに書いた立会川の吉田家が、調べてみたら職場の最寄り駅から20分くらいという事が判明したので、頭をよぎったのだが、フリーのほうの原稿をいくつか抱えているものだから、やはり気が引けると思い、新橋でサクッと天ぷらと蕎麦を食してきた。

立ち寄ったのは、都内に数店舗展開している大衆蕎麦の店「かのや」。

新橋の烏森口駅構内にあり、何度か店の前を通っていたが、入店するのは初めて。

店内は、立ち食い的な蕎麦店にしては広め。椅子付きのカウンター席に腰掛ける。

オープンからそう年数は立っておらずきれいなためか、若い女性も多く、一見カフェのような客層。誰でも入りやすい。多くの店舗を展開してる富士そばより入りやすいよ。

ということで、もりそばと、エビ天とイカゲソ天をいただきます。

まずは、蕎麦から。

大衆蕎麦にしてはコシがあり、まずまず。蕎麦の風味も大衆蕎麦店ではあまり感じることはないが、わずかにだが感じられた。

つゆは、あっさりしているが、バランスがよい。

天ぷらは、ゲソ天(160円)が、想像していたのと違った。こじんまりしているものを想像していたのだが、かき揚げのようなものが出てきた。かじってみると、衣はせんべいのようにカタイ!!

え、失敗作…じゃないよね!?そんなわけないか。かけ蕎麦と馴染むように、カリカリに揚げているのだろう。

でも、私が頼んだのはせいろ。熱々のつゆに浸せるわけじゃないから、ひたすら、ガリガリする羽目に…!おかずというより、まるで…ビールのつまみじゃん!!これは想定外だった。

だが、ゲソじたいはしっかり魚介の旨味があって、蕎麦と一緒に食べると結構いい感じだったから、まぁいいか。

エビ天(140円)はかわいいサイズ。こちらは、揚げたてのようで、まぁ普通に美味しい。

というわけで、感想としては、総じて「まずまず」なのだが、最後に味わった蕎麦湯がなかなか美味しかった。しょっぱすぎず薄すぎず甘すぎず辛すぎず、すっと口に馴染むバランスの良い風味をゆっくり味わった。

ちなみに、HPによると、かのやのうどんは手打ち麺、蕎麦は五割蕎麦。どちらも生麺からゆであげているそう。

また、蕎麦のだしは、本ガツオ節、ソーダカツオ節、サバ節でとっており、うどんのほうは、瀬戸内のにぼし、利尻昆布、ウルメ、カツオ、サバ、でとっただしとのこと。

全体的にめちゃめちゃ美味しいというわけではないが、せいろは290円という値段を考えると、がんばっているのではないだろうか。

ちなみに、麺の量はちょっと少な目だった。ここのものなら、ミニ丼とのセットも楽勝で食べられそう…。まぁカロリーについては考えたくないけど。

というわけで、わざわざ行きたい!とは思わないけど、帰り道にあるのでまた利用させてもらうと思う。

 

★「かのや」の魅力:笑っちゃうくらいガリガリのゲソ天、バランスのよいつゆ、量は少な目なのでサイドメニューも存分に楽しめる。

 

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[かのや 新橋駅構内店]
営業時間:7:30~23:00
定休日:無休(1月1日~1月4日のみ休み)
住所:東京都港区新橋2-17-14
アクセス:JR新橋 烏森改札口すぐ

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品川発の屋形船で隅田川へ行ったレポート。夜景とお酒と揚げたての天ぷらを楽しむ

 

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猛暑である、今夏。

去年は花火やら海やらへ行ったのだけど、今年は暑すぎて夏らしいことを何もせずに、気が付けば8月も終盤になっていた。

そんな8月最後の週末、彼氏から屋形船に乗ろうやというナイスな誘いがあり、ここぞとばかりに、四苦八苦しながら浴衣を装着し家を出た。

今回は品川からお台場、そして隅田川までを往復する船に乗ることに。屋形船、初体験である。

品川発の屋形船はいくつか運行している模様だったが、今回乗るのは「船清(ふなせい)」という屋形船。料理付きでドリンクは飲み放題、2時間45分の船旅だ。価格は一人1万円(税別)。飲み放題付き、2時間45分というゆったりした時間からして、結構お得な気がするが、その満足度は果たして……。

土曜の15時過ぎに家を出て、品川に到着したのが16時頃、17時半集合のため、軽くビールを飲んでから、受付を済ませるために、船乗り場へ。

乗合い船のため、浴衣を着た訪日観光客や、家族連れ、カップル、などが集まっていた、浴衣を着ている人も多い。まだ出発までに時間があったのではやる気持ちを抑え、少々散歩。他の会社の屋形船を見たりしばしぶらつく。

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時間になり船乗り場に戻り、いよいよ船に乗る。

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船内は掘りごたつ式で、とてもきれいだ。

名前が書かれた札のある席を探し着席。席には、私の好きな浮世絵のうちあわがあった。歌麿。ちょっとうれしい。

料理は本格手的な和食。前菜が並んでいた。

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もちろん、窓からは外の景色を眺めることができる。

出発は18時なので、まだ明るい。

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出発前は、船清のおかみが登場し、ご挨拶。おかみ、スタッフ、料理についてなど説枚があり、船旅と一期一会の出会いに乾杯し船は品川を出発した。

品川の景色を眺めながら、前へ進む船。出発してまもなく、ぐわんぐわんと想像以上に揺れてちょっぴり驚いた。今日はいつもより少し揺れている、とスタッフの方のお話。

が、しかし、全然食欲あるくらいなので、慣れればなんてことはない。

揺れを楽しみながら、日本酒と刺身をいただく。

刺身は築地から仕入れているそうで、おいしい!他の前菜も量は少な目だがどれもきちんとした和食で、安い酒場の料理とは違う趣。

船は、レインボーブリッジを横目に、お台場、勝どきをけて進む。そして、あっという間に日が暮れ、美しい夜景に様変わり。満月が印象的な夜の船旅になっていた。

途中、隅田川にかかるいくつもの橋を潜り抜け進んでゆく。

勝どきや隅田川周辺など、何度も足を運んでいる場所も、川から眺めたことはなく、とても新鮮だった。

そうこうしているうちに、隅田川東京スカイツリーがよく見える地点に到着。

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ここで船は泊まり、デッキに上がることができる。と、東京スカイツリーの輝きと同じくらい、満月が美しくてびっくりした。ちょうど、東京スカイツリーの真横で光を放っているのが印象的だった。

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ここで記念撮影などをし、20分ほど、夜の東京下町の姿を満喫。

その後、船は品川へ戻る。

ちなみに、走行中は、上のデッキに出ることはできないのだが、船内を出て、先頭のデッキへの出入りは自由(喫煙所もある)。帰りは、そこに出てみると、やはり景色がよく見えるし、風を切って、爽快なことこの上なしだった。

そんな感じで、来たルートを戻る。レインボーブリッジの夜景も素晴らしく、久しぶりに写真を取りまくってしまう。

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しばらくして、船は品川へ到着。

ちなみに、気になる料理はというと……、刺身の後に、船清自慢の天ぷらが、これでもか!というほど出てきて、結構満腹になった。1種類揚がったごとに、配りに?来てくれるので揚げたて。味もなかなかのものだった。

その後は梅ごはんと、一口蕎麦とデザートが出て、なかなか豪華な内容。

もちろん、日本酒に梅サワーを飲み、お酒もたっぷり楽しんだ。

時間的にもゆっくりできるし、料理もおいしく、これで1万円はコストパフォーマンスは良いと思う。

ちなみに、船清のHPを見たら、2018年、旅行新聞社主催の、第一回 プロが選ぶ水上観光船30選というもので、日本全国のライン下りや遊覧船を含めた観光船の中で7位に選ばれたそうな。屋形船で10位までに入選したのは船清だけで、やはり評価が高い模様。結構おすすめかも。

ということで、浴衣を着て屋形船で涼をとった週末。やっとのことで夏らしい思い出をつくることができて満足満足。といいいつ、屋形船は1年中やっているのだけどね。冬は鍋が出たり、春はお花見ができたりと季節ごとに違う趣を楽しめるらしい。