江戸グルメと酒と旅の話

旅行ライターやってます。昼飲み、ご当地グルメ、江戸グルメ・老舗、神社仏閣、旅の記録などをつづっています。

芝大神宮でほっこり。参詣後は老舗の大門更科布屋で鳥南蛮を

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東京都港区の大門。地下鉄「大門」駅やJRの「浜松町」駅があり、駅周辺は高層ビルに囲まれ多くのサラリーマンが行き交うオフィス街だ。

そして、大門といえば何といっても「増上寺」。徳川家の菩薩時である壮大な寺だ。また、周辺には駅名の由来となった大門や、史跡、小さいながらも歴史ある神社仏閣も点在している。

9月の某日、増上寺を参った後に「芝大神宮」と老舗蕎麦屋「大門更科布屋」に立ち寄った。

増上寺についてはコチラ↓

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阿弥陀如来様オーラに癒され、増上寺を後にし、てくてく。大門をくぐり1、2分歩いたところで、左折する。芝大神宮のお祭り「だらだら祭り」のためか、神社の周辺には提灯がいたるところで見られた。門前町らしくて良い。

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見えてきたのは、白い鳥居だ。 

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芝大神宮の創建は1005年。由緒によると、ご祭神は伊勢神宮と同じアマテラスオオカミとトヨウケノオオカミとのこと。伊勢神宮と同じご祭神というと、ちょっと構えてしまう。が、境内はこじんまりとしているうえ、とても親しみやすい雰囲気。芝大神宮の祭り「だらだら祭」の最中だからなのか、もともとそんなエネルギーがあるのか、なんとなく陽気なエネルギーを感じた。古来から周辺の人々に親しまれてきたのだろうなぁ。

第一印象は、近代的でちょっと寒々しい感じだったので、親しみやすい雰囲気は、少々意外だった。

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参拝をし、御朱印をいただく。

授与品が並んでいるコーナーを見ると、生姜や生姜アメなどがあった。生姜はお祭りだからかな。

窓口の方に聞いてみると、昔は周辺に生姜畑があり、奉納も多くされていたとのこと。それにちなんで、生姜の縁起物を用意しているそうだ。

境内でもう少しゆっくりしたかったのだが、この日はあいにくの雨。小さな敷地内に雨をしのいで休める場所はないので、蕎麦屋を目指すことに。

ちなみに御朱印をいただくと、生姜あめ1つとカード式のお守りがもらえる。

全体的になんだかほっこりする神社だった。

次に向かったのは、老舗の蕎麦屋・大門更科布屋。芝大神宮とは目と鼻の先の距離。

このあたりは由緒ある神社仏閣が多いエリアだが、それと同時にビジネス街でもあるためか、古い店や日本情緒のある店などをあまり見かけないのが、にわかに残念。

そんな中で大門更科布屋は創業1791年。200年以上も人々が通い続けている蕎麦屋ということで、かつて門前町として栄えていたであろう面影を感じさせてくれる存在だ。

暖簾をくぐると、店内はこれぞ昔ながらの蕎麦屋という感じ。木製の椅子とテーブル、落ち着いた照明、砂壁のあちこちに貼ってある毛筆書きのメニュー、昭和っぽい制服の花番さん、などなど。神社仏閣巡りの余韻に浸るのにぴったりだ。

オーダーしたのは、かしわ南蛮。シンプルな味わいだけど、お蕎麦の香りがふわり。もっちりとした蕎麦に、葱と鳥肉は滋味深く、美味しい。雨が降っていて肌寒かったので温かさが身に染みる。

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ただ、店名に“更科”とあるので、本領発揮するのは冷たい蕎麦か。代々口伝で受け継がれている「変わりそば」の技術を活かし、二八、十割、更科、季節変わりそば2種の5種が用意されている。

酒の種類も酒肴も豊富なのでぜひまた来たい。

やっぱり、歴史ある神社仏閣を参ったあとは、こんな風に昔ながらのグルメに舌鼓を打ちたいものだ。

 

異界への入り口「大門」を通って「増上寺」へ。阿弥陀如来様のオーラに…

東京芝大門にある「増上寺」へ

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東京芝大門にある増上寺は上野寛永寺と並び、言わずと知れた徳川家の菩薩寺だ。1393年現在の千代田区平河町あたりに創建。1590年に徳川家康が菩薩寺とし、1598年には江戸城拡張のため、芝の現在地に移転された。一説によると、江戸城の裏鬼門として邪気を防ぐために移設されたともいわれている。

堂々とした姿の「大門」

9月の某日にひとりで同寺を訪ねた。JR浜松町駅を出て、大門方面へと向かう。

オフィス街といえるエリアの平日、しかもお昼時ということで、多くのサラリーマンやOLたちの姿。ゆっくり寺社巡りをしている優越感とともに、職場が門前町なんてちょっとうらやましいなーなんて思いながら、まずは大門を目指す。

3分ほど歩いたところで大門を発見。

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江戸時代に建設された初代・大門は木造だったが、現在のものは1939年に再建された鉄骨コンクリート造り。何度も塗り直されているためだと思うが、見た目がきれいなのでもっと近年に再建されたものかと思いきや意外と古い。

近くで見ると、異界への門のとごとく堂々とした姿!

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初代大門のデザインは踏襲されているようで、切妻屋根などなど、木造さながらの意匠が施されている。私が感じた“異界への入り口感”もそういった表現によって生じたものなのかしら。それとも雨だから?それともただの妄想か?いやいや、気分を盛り上げたいので異界への入り口ということに。

増上寺もそうだが、この大門もいくつかの浮世絵の題材になっており、門のそばには大正・昭和期の浮世絵師、川瀬巴水の叙情あふれる一枚が添えられている。雪の中の大門。遠いようで近い、美しい過去にしばし思いを馳せた。

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「むさぼり、いかり、おろかさ」を解脱する「三解脱門」現る!

大門を異界への入り口ということにして盛り上がった割には、スタバとかおしゃれなカフェなんかを横目にしばらく歩くと、いよいよ見えてきたのが三解脱門(さんげだつもん)だ。大門に続き、オフィス街に江戸時代からワープしたかのように忽然と現れる、巨大な門だ。

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三解脱門は1622年建立。戦災にあった増上寺において、江戸の初期に大造営された当時の面影を残す唯一の建物だ。三解脱門とは、三つの煩悩「むさぼり、いかり、おろかさ」を解脱する門という意味だそう。すべて解脱したい…。上層部(内部)には、釈迦三尊像十六羅漢像が安置されている。

境内に広がる癒やし空間へ

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三解脱門を通り境内に入ると、木々に囲まれた心地よい空間が広がっている。寺域も広く様々な建物があるのだが、まず目に入るのは右手の前方にある鐘楼堂。

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これまた巨大な鐘だ。鐘楼堂は戦後に再建されたものだが、納められている大梵鐘は1673年に完成したもの。東関東最大級の大きさで、江戸三大名鐘の一つに数えられていた立派のものだ。

また、左手前方には、年輪を感じさせるたたずまいの手水舎がある。

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もともとは徳川家の今はなき霊廊にあったもので、明治の霊廊の解体や空襲を逃れた貴重なもの。どうりで凝った意匠に時代を感じさせるオーラを放っているわけだ。

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いよいよ本堂である「大殿」へ。阿弥陀如来様に癒され…

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さて、ご本尊が安置されている大殿へと向かう。こちらも巨大で、戦災により焼失し1974年に再建されたもの。

大殿に安置されているご本尊の阿弥陀如来は、室町時代に製作された貴重な仏像だ。

堂内は神聖なオーラで満ちていていた。

ちなみに、私は神社仏閣でがっつり願掛けするタイプである。たまに「神社仏閣で願掛けなんてするもんじゃないです」という謙虚な方もいらっしゃるが、私個人の考えとしては、いくつもお願い事をしたり失礼にあたるようなことをしなければ、願いは聞いていただけると思っている。何せ、神様仏様。願いの一つや二つに、ごにょごにょ言うほど懐が小さいわけがない。

阿弥陀如来様は、美しかった。

願い事、というか相談事をしてからもしばらく拝ませていただくと、悩み事に関するインスピレーションが浮かんできたような?仏様の存在を感じる瞬間である。

外国人の方々も参拝していたが、彼らも真剣なまなざしで阿弥陀如来様を見つめており、また会話の声もひそひそ声。国が違っていても仏教とでなくても(たぶん)、神聖なオーラはしっかりと伝わるのだ。

そんなことも含め、堂内はピュアなエネルギーに満ちあふれ……。私はというと、目に涙。きっと阿弥陀様の癒やし効果もあったのだろう。ぽろぽろ、浄化するように涙を垂らした。そういえば前回来たときも泣いたっけな、とそこで思い出した。ううっ、癒やされる……。

写真撮影は禁止されていないようで(法要中のみNG)、光をまとっているようなその美しさを、一枚撮らせていただいた。

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また、こちらの阿弥陀様の両脇には高祖善導大師と宗祖法然上人の像が祀られているのだが、こちらが、本当に人が座っているようにリアリティがある。魂入ってそう……。現実世界にいることを忘れるような、なんともいえない不思議な心もちに。

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増上寺には、慈雲閣、経蔵、光摂殿などの建物や、徳川将軍家墓所、宝物展示室などのみどころも。墓所や宝物展なども気になったのだが、阿弥陀様を拝んで、悩みを打ち明けおみくじを引いてかなり満足してしまった。この後芝大神宮にも行くつもりで、しかもお腹が減って蕎麦が食べたくなってきたので(芝大神宮の近くに老舗蕎麦屋芝大門更科布屋」あり)、今回は、立ち寄らずに寺を後にした。

阿弥陀如来様の癒やしオーラで心を浄化し満足満足の今回の訪問。随所に色濃い歴史も感じられるパワースポットだった。今度は墓所も見学してみたい。

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芝大神宮&芝大門更科布屋については次回に。

湯河原で天然鰻を食す。富士屋旅館「瓢六亭」へ        

 

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年に何度か、湯河原に行く。

旅行に足を運ぶとつい、あそこへ行こう、あれを食べようと、結構せわしなくて、家に帰ってどっと疲れが、なんてこともあると思うのだが、湯河原は、いつでも来れる距離であり、温泉があり、観光施設はあまりないが、そのぶんゆったりと過ごせるのが気に入っている。静かなのもいい。

今回、ランチで立ち寄ったのが、富士屋旅館の「瓢六亭」 だ。鰻を中心とした懐石料理を富士屋旅館の宿泊客に食事を提供している店だが、ランチや、予約をすればディナーも食事のみの利用ができる。

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老舗の富士屋旅館に併設ということもあり、店内は、かなり重厚感があり、さまざまな和の意匠が凝らされたインテリアが印象的。

メニューは鰻重などを中心に、ひつまぶし、鯵丼やところごはんとおばんざいのセット、鰻の棒寿司や鯵棒寿司なども。

あっさりな気分で鯵丼に惹かれたのだが、メニューをみると、なんと、うなぎは国産でしかも天然ものだという…。え?天然!?とちょっとびっくり。

そこで、鯵丼と鰻重をオーダー。

ちなみに、「瓢六亭」は、腹開き、蒸さずに焼く関西風の鰻だ。私は、蒸されたやわらかい関東風の鰻、かつ養殖ものしか食べたことがないので…。

関西風や養殖の鰻、どれほど違うのだろうか?と思っていたのだが、やってきた鰻重を一口食べてみると、全然違った。

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※宿にケータイ忘れて彼氏のガラケーで撮影。画像が荒くてすみません

まず、すごく身がしまっていて、弾力があることに驚いた。そして、臭みもまったくないし味わい深い。そうか、こんなにも違うのか、と衝撃。しっぽがまあまあ焦げているくらいのしっかりとした焼き加減も関東風の鰻ではあまりみかけない。でも、確かに、こんなに弾力のある鰻だったら、蒸してやわらかくしてしまうのはもったいない。

タレはわりとさっぱりしていた。ごはんつぶも美味しいし、言うことなしの感動。

鯵丼もきゅうり、みょうが、しょうがなどと一緒に鯵たっぷりとどんぶりに載っていて、美味。

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※宿にケータイ忘れて彼氏のガラケーで撮影。画像が荒くてすみません

それにしても、いつもあるのかはわからないが、天然ものの鰻が5000円以下で食べられるとは…。そして、鯵丼は1000円と非常にリーズナブル。

ちょっと残念だったのが、昼はアラカルトが全くないので、お酒を飲む人はちょっと寂しいかなという点。今回はセットのおしんこだけ先にもらってお酒を飲んでいた…。

と、思ったら、一休で、先付けやお造りがついて5000円という破格のプランを見つけた。一休限定らしい。めちゃお得ではないか。次回はこちらを、予約したい。

【国産鰻を使用】上品にのった脂と香ばしい薫りが美味!料理長厳選素材で味わう鰻重またはひつまぶし(上)

 

ちなみに「瓢六亭」と富士屋旅館を運営しているのは、際コーポレーションという会社。富士屋旅館が閉業後に買い取り、修復して新たに開業。「瓢六亭」は、赤坂などにも店舗があるらしいが、趣はかなり違うらしいので、機会があれば足を運んでみたいと思う。

 

瓢六亭

住所:神奈川県足柄下郡湯河原町宮上字橋上557 富士屋旅館

アクセス:湯河原駅よりバスorタクシーで15分

 

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むかしの浴衣、かわいい。「特別展 ゆかた 浴衣 YUKATA―すずしさのデザイン、いまむかし」レビュー

夏になると、「今年もちゃんと浴衣を着なくては」と謎のプレシャーを自分に課している私。(女性は同じような人いるよね?)

もっと気軽に着たいのだが、仕事がある日は無理だし、週末も泊まりで遊びに行くことも多く、なかなかチャンスがないので毎年ほぼ1回しか着ていない。

が、やっぱりもっと気軽に浴衣を着たいなぁと、浴衣の展覧会「特別展 ゆかた 浴衣 YUKATA―すずしさのデザイン、いまむかし」に行き、思いました。

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5/28(火)より泉屋博古館(せんおくはくこかん)美術館分館で開催中のこちらの展覧会は、江戸時代から近代までの浴衣や、浴衣にまつわる浮世絵、絵画、資料などを展示する展覧会。浴衣の歴史やデザインの移り変わりについて知ることができる。

浴衣はもともと武士のお風呂着だった

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現代では、花火大会などに女性が着るイメージが強い浴衣。

しかし意外にも浴衣を最初に着ていたのは、武士などの上流階級の人たちだそう。現在のような湯に浸かる風呂が一般化する以前に主流だった蒸し風呂で、肌着として身につける湯帷子(ゆかたびら)が浴衣のルーツなのだとか。素材は通気性の良い麻が使われていた。

その後、町風呂(銭湯)文化が発展するとともに、庶民の入浴後のくつろぎ着として浴衣が誕生。だんだん銭湯を往復するときなどに使用されて、その後は、盆踊りや花火、蛍狩りなどに用いられ、近所をぷらっと出歩くときに着る今で言うワンマイルウェアのような、カジュアルファッションとして定着していった模様。

素材も麻から木綿へと変化し、染の技法も発達し意匠が凝らされたデザインも増えていったそうだ。

絵画で見る浴衣

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同展覧会で様々な浴衣と一緒に飾られていたのが浴衣姿の美人画や、浴衣を着た男性の浮世絵など。

浮世絵といえば女性を描いた美人画の類を目にすることが多く、男性の浴衣姿にフォーカスして鑑賞することはあまりないので、ちょっと新鮮だった。

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歌川国貞の作品も。浴衣姿で蛍狩りに出かけた女性を描いた1枚は、夏の風情たっぷりで素敵。浮世絵好きなので、じっくり見ました。

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江戸時代の浴衣

また、現存するももっとも古い浴衣(というか湯帷子)も展示されている。しかも、徳川家康が着用した言われているものだそう!

涼しげで上品…。

薄手の麻で仕立てられており、現在着ている浴衣とは印象が違う。それにしても、こんなペラペラな素材でこのようなキレイな状態のまま残っているのがスゴイ。

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続いて18世紀後半頃の浴衣。素材は麻。浴衣と言えば木綿を思い浮かべてしまうが、麻はなんとも涼しそう。この頃はおおぶりなデザインが主流だったそう。

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こちらは19世紀後半のもの。桜の文様が描かれている。 っていうか、めっちゃかわいい。

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こちらは明治から大正にかけての浴衣で菖蒲模様が施されている。江戸時代のものに比べるとちょっとモダンな感じがする。この頃から、アール・ヌーボーに影響されたようなデザインが多くなり、この作品もその一部なんだとか。

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近・現代の浴衣

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大正、昭和、そして現代の浴衣の展示もあり。鏑木清方など近代の画家がデザインした浴衣や、昭和の人間国宝が手がけたものなど貴重なものがズラリ。

明治を過ぎるとデザインがガラッと広がるのが印象的だった。

近代のコーナーに関しては関しては撮影NGだったのだが、竹久夢二を思わせるような大正レトロな浴衣や繊細で美しいかんざしや櫛にも胸キュン!

ほかには、型染めや絞りの技法についての資料や、職人による製造工程を収めたビデオ上映などもあり、浴衣や染物について、楽しみながら知ることができる。

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伝統的なデザインや技を目の当たりにして、改めて和装や和柄の魅力を感じた展覧会。

なんだか、お風呂あがりに浴衣着てプラプラ散歩したいな〜なんて気分に。旅行のときくらいしかやらないけど、普段からやってもいいよね。もっと浴衣が着たくなった。

展覧会は5/28(火)〜7/7(日)まで。泉屋博古館美術館HP→https://www.sen-oku.or.jp/

※今回は内覧会にて美術館より特別に許可をいただき撮影しています。

 

タレは辛口アッサリ。両国「明神下神田川支店」の香ばしい肝焼きと鰻重に舌鼓

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両国にある鰻とすっぽん料理の「明神下神田川支店」で鰻重ランチ。こちらは、全席畳部屋の個室という、ちょっと贅沢なお店。そしてもちろん接客も鰻もそんじょそこらの店とは比べ物にはならない。ところが建物はかなり年季が入っており、高級店というよりどことなくおばあちゃん家を思い出す風情なのがちょっと面白い。かしこまらずに、くつろげるのが、いい。

コースの会席料理などもあり、ちょっとした会合などにも使われているのだろうか。

私たちは何はともあれ、鰻。コース以外の一品料理は、鰻重、白焼、肝焼き、酢の物、お刺身など。品数は多くはないが、鰻屋さんなのでそんなものだろう。

酢の物と肝焼きをオーダーする。酢の物がやってきたが、前回来たとき出されたお通しがこの日はなかったので、気になり聞いてみると、できますよ失礼しました、と。

少しゆっくり飲みたいなぁなんて人はリクエストしてると良い。季節の食材のものなのだろう。

酢の物は、刺身やもずく、きゅうり、枝豆豆腐のようなものが入っていて豪華。

そして肝焼き!これが香ばしく焼けており、肝のほろ苦さと相まって美味! 甘さはかなり控えめでシンプルな味付けだ。

お酒を満喫して、お待ちかねの鰻重。こちらも、タレはかなりあっさり。身が締まった鰻の味わいをたっぷりと堪能できる。セットのハマグリのお吸い物がこれまた、薄口で上品な味わいで、とても印象深かった。

同店は創業は1805年の明神下神田川本店から暖簾分けされた店。明神下神田川本店のはじまりは、青物市場にやって来る人足さんたち相手の屋台。肉体労働者相手のため、タレは甘さを控えた辛口だったそうで、江戸時代から現在までその味を引き継いでいる。

今回味を運んだ支店は大正7年創業だ。

蒲焼きのタレは、本店からのれん分けしたときにもらったタレに、95年間つぎ足してきた秘伝の味とのこと。キリッとした辛口のあっさり系。ちなみにすっぽんは本店にはない。すっぽんもいいし、本店にも行ってみたいなぁ……。

そうそう、もう一つ、両国にあるだけあって、昔のお相撲さんの写真やら手形やらがあって、相撲好きならそれらも一見の価値あり。

 

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・明神下 神田川支店
東京都墨田区両国1-9-1
両国駅より徒歩5分ほど
03-3631-3561
[月~金]11:30~13:00(L.O)、16:30~20:00(L.O)
[土]11:00~13:00(L.O)、16:30~19:00(L.O)
定休日:日曜・祝日

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まったり昼飲みするのにもぴったり。蕎麦屋酒の魅力

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気が付いたら、好きになっていた蕎麦屋酒。

もともと蕎麦は嫌いじゃなかったし、彼氏ができて昼飲みすることが増え(3年以上前だけど)、近所の名店に行ってみたら料理も店の佇まいも器もジャパニーズビューティでしびれたり、神田まつやの江戸庶民的な雰囲気に胸を打たれたりして、だんだん蕎麦屋に足を運ぶことが増えて、気が付いたらものすごく好きになっていた。

一人ですっと入って酒も飲めるようになった。まぁもう中年まであと一歩というところだから、それくらい楽勝だよなぁと、いつのまにかまあまあな歳を重ねていたことを自覚する。

まぁ、「蕎麦屋で酒を飲んだことなんて一度もない」という人にとってはちょっと敷居が高いかもしれないけど。そんな人のために蕎麦屋酒の魅力をちょっと紹介してみよう。

ちなみに、蕎麦屋酒に特別なルールや決まりはない。常識の範囲で好きなように食べて、飲んでオッケー。

蕎麦屋酒の魅力①昼飲みしやすい&ひとり飲みしやすい

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先日入った、とある蕎麦屋で品のある年配女性が昼酒を楽しんでいた。

そんな風景も蕎麦屋ならではだ。

思えば、蕎麦屋ほど女一人飲みに適した場所はないんじゃないかという気がする。

居酒屋や立ち飲み屋も一人客を歓迎してはいるものの、やっぱり入りづらい。初めての店はかなりの勇気を要する。外食チェーンでちょい飲みもできるが、それじゃなんだか味気ない。

バーはいくらか入りやすいが、やはり知らない店へ行くのは勇気がいるし、周りの客や店員によって居心地はかなり左右されるし、店の雰囲気も多様なので好みの店に入れるとは限らない。言ってみれば当たり外れが大きい。それから基本的に昼からは飲めない。

でも蕎麦屋なら、誰でもひとりでスッと入れる。店員さんとも周りのお客とも適度な距離感があって、ひとりで行っても落ち着ける。

早い時間から飲んでさっと帰って、カフェにでも行くような足取りで爽やかに帰れる。バーみたいについ飲み過ぎて……なんてこともない。

もちろん、気の置けない人と昼からまったりお酒を飲むのもなんとも幸福な時間だ。

蕎麦屋酒の魅力②蕎麦屋ならではの酒肴×日本酒が最高

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ビール好きの私だが、蕎麦屋に来たらやっぱり日本酒。最初の1杯はビールかなとグラスを片手にしながらも、つまみを頼んだらもう、早く日本酒が飲みたくてそわそわしてしまう。

蕎麦屋と酒がセットなのには、理由がある。

江戸時代、蕎麦は作り置きをせず、客の注文を受けてから蕎麦を打ち始めて提供していた。当然時間がかかる。そこで客は蕎麦が出来上がるまでの時間に酒や種物(温かい蕎麦の具)に使われる食材を使った酒肴を楽しみながら蕎麦を待つのが一般的だった。これが「蕎麦前」と呼ばれていた。

蕎麦屋に欠かせない酒肴といえば、まずは蕎麦味噌。

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蕎麦味噌とは、砂糖、みりん、酒などで伸ばした味噌に、煎った蕎麦の実を加え、七味や白ごまなどで味を整えたもの。甘辛い味噌に蕎麦の実の香ばしさと食感があり、とにかく日本酒が欲しくなる一品。

お店によっては、しゃもじの上に伸ばして焼いたものだったり、山椒がきいたちょっぴりスパイシーなものだったりさまざま。もっとも店の個性が現れる酒肴の1つだと思う。

また、ちょっと変わっているのが、天ぷら蕎麦や鴨南蛮など温かい蕎麦から、蕎麦だけをぬいた、「ぬき」という一品。天ぬきなら、たぷたぷに汁を吸った天ぷらがもう、なんともいえぬ味わい。そして汁じたいも日本酒のお供として最高。

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その他に、卵焼き、焼き鳥(蕎麦に使う調味料を使った特製のタレで提供している店がほとんど)、とりわさ(軽く火を通した鶏肉をわさび醤油などで和えたもの)、板わさ(かまごこと山葵)、焼きのり、とろろ、鴨焼き、天ぷらなどが定番。店によっては旬の素材を使った一品料理を多くそろえているところも。
 
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酒肴はあっさりしたものから始めて、次に、ぬきや焼き鳥、卵焼きなど脂がのった料理の順に頼むのがいい。また、個人的には、日本酒はうま味が引き立つ熱燗やぬる燗がおすすめだ。酒肴とのハーモニーは格段にアップする。

〆はもちろんお好きな蕎麦でどうぞ。

蕎麦屋酒の魅力④江戸ワールドへトリップ!

私が蕎麦屋好きな大きな理由の1つが、これ。江戸世界にトリップしたかのような時間を過ごせること。もちろん、すべての店というわけではないのだけど、特に老舗はかなり独特の雰囲気があり、建物が需要文化財だったり、店内に古くからの調度品が飾られていたり、タイムスリップしたような非日常感を味わえる。

純和風の佇まいが好きで、首都圏では特にだけど、イタリアンやおしゃれカフェで溢れ日本なのに日本らしさを感じる店が劇的に少ないということを誰も疑問に思わないのが不思議で仕方ない私にとっては、日本に帰れる蕎麦屋はちょっとしたオアシス的な存在だ。

 そんな空間で盃を片手に蕎麦すする。ときどきふっと、ほんの一瞬、江戸時代の人もこんな風に酒と酒肴と蕎麦を楽しんだのだろうなと、想いを馳せながら、彼らが残してくれた文化で胸をいっぱいにして、店を後にするのだ。

 

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喫茶店のようにふらっと立ち寄ってほしい。上野の老舗蕎麦屋「連玉庵」【蕎麦前紀行】

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「連玉庵」は、上野の不忍池のほど近い場所にある創業1857(安政4)年の老舗蕎麦屋

店名は不忍池にちなんでいる。創業者の窪田八十八が、不忍池の蓮の葉の上にある玉のような蕾から「蓮玉庵」と、名付けたらしい。

上野にはちょこちょこ足を運んでいるので、連玉庵へは何度か行ったことがあるのだが、なんというか、すごくさりげない店だな、と思う。

突出してこれがものすごく美味しいとか珍しいメニューがあるわけでも、ものすごい年季がある建物でもないし、こ、これは!?みたいなものがないのだ。(唯一外壁は戦後のままを保っていてそそられるけど)

それなのに、不思議と何度も足を運んでしまう。

 

店内は平成に入り改装したとのことで、和モダンなつくりだ。

この日の蕎麦前メニューは、蕎麦の実なめこ、鴨の燻製、天ぷら。

ビールやぬる燗片手に、楽しむ。というか、以前は、蕎麦以外は、板わさ、焼きのり、月見いも程度しかなかったのに(つきだしは別)、いつのまにはメニューが増えていた。

蕎麦の実なめこは、なめこおろし的なやつに蕎麦の実が入っているもの。さっぱりしていて大好きな味だった。鴨の燻製は日本酒と。天ぷらは、サクッと軽い食感とゴマ油の香りが印象的。蕎麦は、ランチのみで出している3枚重ねのせいろを。普通のせいろ2枚と季節によって変わる変わり種蕎麦。この日はゆずだった。

濃いめのつゆにつけていただく。

のど越しとコシは最高。蕎麦の風味はほんわり。上品な蕎麦。するする食べられる。ちにみ量も上品。でも、酒と楽しむならこれぐらいがいいのかもしれない、といいつつも、人気の鳥南蛮蕎麦も追加。鳥がやわらかく、柚子の香りと蕎麦と一緒にほおばると、またせいろとは違う幸せが口いっぱいに広がる。

汁はこちらも濃いめ。江戸の味だ。

 

連玉庵は、少し不思議な蕎麦屋だと思う。

例えば、並木藪蕎麦なら、蕎麦屋に行くぞ!と心づもりをするし並ぶし、同じ上野にある街の蕎麦屋的な老舗ならば、これからタイムスリップするぜみたいな気分になるし、有名店では行列に並ばなくては入れないことも珍しくないが、ここはなんというか、気が付いたらもう店の前にいたみたいな店なのだ。

かといってもちろん、蕎麦の美味しさや、清潔で落ち着いた雰囲気の店内、江戸時代のものだという蕎麦猪口や浮世絵などが飾られている点も、価格やボリューム重視の町蕎麦屋とは一線を画している。

それなのにとにかく、近所の喫茶店に入るのと同じノリで入れるのだな。(店内のインテリアも少し影響しているかも?)若い女性一人で蕎麦屋酒とかも余裕でイケる、と思う。近すぎず遠すぎずの接客もあり、コーヒー飲むみたいに蕎麦と酒を注文できる。(平日の昼とかはちょっとわからないけど)。

森鴎外斎藤茂吉樋口一葉など、明治の文豪たちにも愛されていたそうだが、散歩がてら、食事というよりティータイムのかわりのような感じで利用していたのではないだろうか。江戸時代には、もともと蕎麦屋自体がそのような使われ方をしていたのだけど。ここは特に、と思う。

HPを拝見したところ

当店では、厳選された材料を使用し、独特の製法で「毎日食べても飽きない蕎麦」を目標に心を込めて調理し、お客様に御満足を頂ける様、日々努力しています。

とあった。するする食べられる蕎麦も、構えることなく入りやすい店の雰囲気もこのような姿勢からきているのだなと思った。

蕎麦の味とともに、そんな店の空気もいつまでも守り続けてほしいなと思う。

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 この写真は前に来店したときのもの。

 

・連玉庵
東京都台東区上野2-8-7
03-3835-1594
11:30~18:30(LO18:15)11:30~18:30(LO18:15)
定休日 毎週月曜日、第2、4火曜日。祝日は通常通り営業、翌日が定休日。

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ふぐのおいしさに開眼。下町の老舗「魚直 (うおなお) 」【入谷】

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東京下町をぶらぶらした週末。

日曜の夕方、入谷へ。

ご飯はどうしようか、バスで浅草に行こうかということになり、バス停までを歩く途中でみつけたのが、ふぐ料理店「魚直 (うおなお) 」。

創業大正2年というし、佇まいも素敵だったので、入ってみることに。

日曜、それもまだ19時前ということで、先客は“ひとりてっちり”をしているらしきおじ様のみ。店内はすべて座敷席。ガスとつながっているまあるいテーブルに座布団がおかれてる。庶民的な純和風の雰囲気だ。

接客しているのは、おばさま2名。

まずはビールと、ふぐ刺しを注文。美しく扇にならべられたふぐ刺し。1枚口へ運ぶび、心地よい歯ごたえを楽しむ。ぺらんとしているのに、うまみがじわじわ、飲み込むのがもったいないくらいの味わいだ。

なんて、えらそうなことを言っているが、ふぐなんてめったに食べないので、うわーこれがフグか!めちゃくちゃおいしいじゃん!!とかなり感動。

ふぐ刺しには皮もついてきて、弾力と旨みを堪能。

続いては煮凝りと日本酒ぬる燗をお願いした。煮凝りは思ったよりしっかりした味わい。もちろん、ふぐ刺しと日本酒のマリアージュも楽しんだ。

ふぐちりは、1人前でもかなりボリュームがあるそうなので、2人で1人前を注文。

自家製らしきポン酢があるのだが、それだけでなく、まずは用意されているだいだいをお椀に絞る。そこに好みの量のポン酢を投入。

鍋のセットは、春菊、豆腐、ふぐ、ととてもシンプル。

まずはアラから煮て、春菊はさっと湯がくだけ。この春菊もとっても美味。ふぐは、1人前なのに、肉厚の切り身や皮がいくつもあって食べ応え満点だ。味はもちろん、文句なし、というか、ここでもまた、そうか、ふぐってこんなにおいしいのね~と感動。

だいだいを絞ったポン酢がなりいい仕事をしている。

彼氏も、親戚の会社の役員会で毎年ふぐを食べるのだそうだが、そこよりもおいしいと言っていた。

続いて、ひれ酒をいただく。ひれ酒もおそらく初体験。マッチを渡されたが、これは、ひれに一瞬焦げ目をつけるためだそう。言われた通りにして、いただきました。

口にふくむと、なんだか、江戸が恋しくなるような(個人的なイメージ)味だぁ。酒好きにしか受け入れられなさそう。もちろん、酒好きだからイケる。ちびちびやるにはもってこいだ。

その後は、雑炊とお新香で〆。

ふぐをめったに食べない私が言うのもなんだが(これからはもっと食べられたらいいなとてもおいしかったから)、「ふぐの良さがよくわからない」という人には、かなりおすすめの店と見た。ふぐのおいしさに開眼するに違いない。

ふぐ以外の一品料理も、蟹つめ、海老塩焼き、貝の刺身とか、うなぎのくりから焼き、など…とても気になる。

気取らずにくつろげる雰囲気なのもすごく気に入った。

ぜひまた再訪したい。

 

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・魚直 (うおなお)

東京都台東区入谷2-3-2 コンフォート入谷 1F

03-3873-5544

最寄り駅:日比谷線「入谷」・JR「鶯谷

火~日 17:00~22:00(L.O.21:30) 月曜定休

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